■最近のエコタイヤは弱点がほぼない!!
スポーツカーといえば、スポーツラジアルを履くのが常識だったのは昔の話だ。というのも、エコタイヤ=グリップの悪いタイヤと思っているのなら、その認識は改めたほうがいい。最近のエコタイヤは、グリップ力を落とすことで転がり抵抗を軽減しているわけではないのだから。
確かに初期のエコタイヤは、グリップレベルの低いタイヤが多かった。加えて軽自動車の燃費競争が勃発した頃は、タイヤの空気圧が一気に上昇して、車体の軽量化と相まって一気にタイヤのグリップを感じない軽自動車が増えたりしたので、なおさらエコタイヤはグリップが低いというイメージをもった人も多かったんじゃないだろうか。
しかし、最近のエコタイヤは、決してグリップが低いタイヤではない。もちろんスポーツラジアルとは比べるべくもないが、最新のエコタイヤは普通のタイヤとして使えるほど弱点のないタイヤになっている。
というのも、エコタイヤが低い転がり抵抗を実現しているのは、決してグリップレベルを落としているからではないからだ。銘柄にもよるが、むしろひと昔前の普通のタイヤ以上のグリップレベルは確保されている。
そもそもタイヤの転がり抵抗には、タイヤが路面をつかむグリップ力だけでなく、タイヤが変形する時に発生する抵抗もあり、これが意外と大きい。
タイヤのトレッド面のゴムが路面と接して、車重によって潰れることによって変形する。この変形するために使われたエネルギーは、熱に変換される。エンジンの駆動力をここで熱に変換するロスが生じているのである。
しかしタイヤの性能解析技術も進み、設計技術、分子レベルの研究開発によって、トレッドゴムが変形しても熱を発生しにくいよう工夫されている。これがエコタイヤが低転がり抵抗を実現できている大きな理由だ。
■エコタイヤに交換したら2割燃費が向上したケースも。十分元が取れる!!!
勘違いしないでほしいのは、転がり抵抗の軽減率がそのまま燃費性能の向上率になる訳ではないということ。従来製品に比べて転がり抵抗が13%軽減したから、燃費も13%向上する訳ではないのだ。
けれども、ある程度使い込んでいる愛車のタイヤをエコタイヤに交換するとなれば、話は別だ。さらにタイヤを履き替えるということは、新品同士を比べるのではなく、これまで履いていて古くなったタイヤから、新品のエコタイヤになるのだから、その差はさらに広がる。
同じタイヤ銘柄を使っても、車種やタイヤサイズ、走り方によって燃費の向上率は異なるから、一概に何割改善、なんて表現はできないが実際、筆者の回りではホイール外径を1インチアップしても、エコタイヤにしたおかげで燃費が2割も向上した、なんて例もある。しかも空気圧も少し下げることができて、乗り心地も良くなっているのだ。
つまり、今履いているタイヤが完全に減ってからエコタイヤに履き替えようとしているのなら、なるべく早くエコタイヤに履き替えたほうがいい。
燃費が1割以上向上するということは、タイヤの寿命を5万kmとして、その1割の5000km分の燃料が節約できる。リッター10kmであれば500L、つまりレギュラーガソリンが1L130円としても6万5000円の燃料代が浮くのだ。これは十分タイヤが購入できる金額だろう。
すなわちエコタイヤによる燃費向上で元が取れるのは、これまで普通のタイヤを履いていたクルマだ。まだ使えると交換を先延ばしてケチるより、エコタイヤへの履き替えの方が得する場合がある訳がこれで分かるハズだ。
■グレードの高いエコタイヤほど転がり抵抗とウエット性能の両方を高めている
エコタイヤの性能については、前述した通り、ラベリングによってひと目で分かるようになっている。自分のクルマにどんなエコタイヤが向いているかは、タイヤ専門店のスタッフに尋ねるのが得策だ。
メーカー系のタイヤ専門店では、自社ブランドのタイヤを勧めてくるが、そのぶん、自社ブランドのタイヤに関する知識には長けている。燃費以外にどんな走りの要素を重視するのか、考えたうえで相談するといい。
特にウエット性能は低転がり抵抗との両立が難しいので、グレードの高いエコタイヤほど転がり抵抗とウエット性能の両方を高めている。
実はストリートではウエット性能はドライ路面以上に重視したい要素だ。クルマを購入する時には自動ブレーキの有無を気にするのなら、タイヤのウエット性能も重視しなければ、肝心の時に止まり切れないことだって有り得るのだ。
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