■空冷911のお薦めベスト3
そうなると、一般的な観点での「空冷911におけるお薦め年式&グレードBEST3」は自動的に決定されます。それはすなわち下記のとおりです。
1位:90~92年式付近の964カレラ2 ティプトロニック
2位:94~96年式付近の993カレラ ティプトロニックS
3位:90~93年式付近の964カレラ2 (5MT)
上記のなかの、なるべく程度良さげで整備履歴も充実していて、なおかつ経験豊富な専門店が販売している個体を探してください。
ただしティプトロニックAT車である1位と2位は車両価格500万円台から600万円あたりで探せますが、大人気のMT車である3位は700万円から900万円ぐらいが相場です。さすがにちょっと「お金持ち向け」ですね。
この結果を見て「なんだよ、ティプトロかよ!」と思うかもしれません。でも、乗ればその意見も変わるはず。
ティプトロニックであっても空冷911ならではの面白さは十分味わえますし、非常に故障しづらいトランスミッションでもあります。
またMT車ほどではないでしょうが、キレイに維持しておけば将来的な値上がりも期待できます。
■水冷911は100万円台後半から買える爆安価格
いっぽう、一部の水冷911はかなりお安い予算で探すことができます。冒頭付近で申し上げたとおり、100万円台後半という超爆安価格でも買えるぐらいです。
なぜこんなにも安いかといえば、理由は2つあります。ひとつは、単純に「今イチ人気がないから」です。
ポルシェ911に「味わい」を求める人は、往年の空冷世代を買います。「性能」を求める人は、最新または最新に近い世代に興味を持ちます。そんななかで、水冷化された直後ぐらいの世代はやや中途半端なのです。マニアックでもなく、かといって超高性能なわけでもない……ということです。
もうひとつの理由は「機械面での不安材料があったから」です。
水冷エンジンを搭載した最初の911(タイプ996)と、その次のタイプ997前期型では、エンジン内部にある「インターミディエイトシャフト」のベアリングが破損するという問題が一部で発生しました。
もちろんこれは「すべての個体で必ず発生する」という話ではありません。とはいえそれが起こる確率は、筆者が正規・非正規を問わず関連各所に取材したところによれば「……たぶん自分には当たらないだろうけど、もしかしたら当たるかも?」と不安に思ってしまう、なんとも微妙な数字でした。
以上のもろもろがあって、タイプ996と、その次のタイプ997前期の中古車相場は爆安となったのです。現在、主要モデルの中古車相場はおおむね下記のとおりです。
【タイプ996前期型(1998~2001年)】
●カレラ ティプトロニックS:150万~300万円
【タイプ996後期型(2001~2004年)】
●カレラ ティプトロニックS:220万~360万円
●カレラ 4S ティプトロニックS:290万~450万円
【タイプ997前期型(2004~2008年)】
●カレラ ティプトロニックS:270万~580万円
●カレラS(6MT):550万~630万円
●カレラS ティプトロニックS:330万~590万円
●カレラ4S ティプトロニックS:460万~780万円
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