■水冷911のお薦めベスト3
「これらのなかからどの年式、どのグレードを選ぶのがベストか?」というのは難しい問題です。なぜならば、正解なんてものは人それぞれの価値観やおサイフ事情によって大きく変わるからです。
ですがあえて水冷の「BEST3」を示すなら、筆者は下記のとおりと考えます。
1位:01~04年式付近の996カレラ4S ティプトロニックS
2位:04~07年式付近の997カレラS ティプトロニックS
3位:04~07年式付近の997カレラS (6MT)
一見、タイプ997前期カレラ4S の良質中古車を車両700万円ぐらいで探すのがベストなようにも思えます。ですが筆者はあまり気が進みません。なぜならば、700万円も出すのであれば、それを元手に最新911の新車とか認定中古車を買ったほうが幸せになれるのでは? と思えてならないからです。
誤解を恐れず言えば、中古車の魅力とは「安いこと」にあります。「こんなにお安い予算で、けっこういいのが買えちゃった!」というのが中古車購入の醍醐味なのです。
■過小評価されている996後期カレラ4Sが特にお薦め!
その意味では、「かなりいい車なのに過小評価されている→だから相場がけっこう安い」というタイプ996の後期型が、まずはお薦めとなります。そのなかで特にタイプ996後期のカレラ4S ティプトロニックSには、下記2つの美点があります。
●車両価格が360万~400万円付近で、まあまあ低走行な個体が探せる
●同時期のターボと似たワイドボディであるため、2019年の視点で見てもなかなか存在感がある。少なくとも「しょっぱい感じ」はない
まあ本当は6MTのカレラ4Sを探したいところですが、そちらは残念ながら流通量がきわめて少ないのです。
また996カレラ4Sとほぼ同様の理由で997前期カレラSも注目に値するのですが、お安いのはやはりティプトロニックSのほうです。
「どうしても6MTが欲しい!」という場合は、おおむねプラス200万円の予算増額が必要となるでしょう。
■初期の水冷911を購入してヤバくないのか?
とはいえ、初期の水冷911で気になるのは前述の「インターミディエイトシャフト問題」でしょう。しかしここについても過大な心配は無用です。
確かに破損する可能性を秘めている996および997前期のインターミディエイトシャフト関連ですが、ポルシェ ジャパンは2001年5月4日から2005年2月21日製造分の911を対象に「サービスキャンペーン」を行っています。
正確な型式名と製造日がこのキャンペーンに該当する個体に対しては、無償での点検と、必要な場合の修理(エンジン交換を含む)を無償で行っているのです。これは正規輸入車でさえあれば、正規ディーラー以外で買った中古車も対象となります。
タイプ996を買うのであれば、まずは必ず「後期型」を選び、そしてこのあたりのサービス履歴を確認する。
で、もしもまだ点検と対策整備を受けていないようであれば、お近くの正規ポルシェセンターに予約のうえ持ち込む。それで万事は解決するのです。
ということで空冷・水冷を問わず、ポルシェ911という素晴らしいクルマをより多くの方が現実的な予算にてご堪能いただけることを、陰ながら祈念しております。
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