■パンクしてタイヤを交換する場合、タイヤ1本新品交換でも大丈夫?
タイヤを一度ホイールから外し、内側からホットパッチでしっかりと修復できれば、そのタイヤはパンク前と変わらぬ状態で、その寿命を全うすることができるだろう。
しかし不幸にして、パンクしたタイヤが継続使用NGとなった場合、そのタイヤだけを1本だけ新品に交換すればいいのか? それとも前輪か後輪どちらからの2本を新品にするのか? あるいは4本同時に交換しなければいけないのだろうか?
結論を言ってしまえば、残り3本の状態と駆動システムによる、と言わざるを得ない。
残り溝がかなり少ない、もしくは経年劣化でタイヤ表面のゴムが硬化していたりヒビ割れしているなら、思い切って4本全部を新品に交換した方がいい。
タイヤの銘柄については、前後左右の4本のタイヤは同じ銘柄にする。1本だけ違う銘柄のタイヤを履くとほかのタイヤとグリップレベルが変わってくるからだ。
1本だけを新品にしてもトラブルを起こすことはないが、新品タイヤの恩恵である路面に吸い付くような感触や、しなやかな乗り味、高い静粛性を味わうことができないのはもったいないというものだ。
■残り溝が5分山以上なら2本だけ新品交換もアリ
残り溝が5分山以上残っているなら、2本だけを新品に交換するのもアリだ。特にFF車なら、前後で減り方が違うのでフロントタイヤ2本だけを新品にしてもいい。
ただし、古いタイヤのコンディションが悪い場合は要注意。雨の日のカーブ、特にアップダウンがあるようなシーンでリアタイヤのグリップレベルが低いと、上りから下り勾配に変わるところを走り抜ける際に後輪の荷重が抜ける瞬間があり、それをきっかけにリアタイヤが滑ってスピンモードに陥ってしまうことにもなりかねない。
■リア駆動のFR車の場合は?
注意すべきはむしろFR車だ。前後タイヤの役割分担がしっかりとあり、タイヤのグリップ力をバランス良く使っているために、前後どちらかのタイヤだけを新品にすると、そのバランスが崩れてしまう。左右2本を1セットで交換するほうが安全だ。
スポーティな走りを楽しむドライバーなら、タイヤのグリップを感じとりながらクルマの応答性を楽しんでいることだろう。
それが前後どちらかのタイヤが古いことによって、ペースを落としてのんびり走らなければならなくなるとしたら、そのクルマ本来の魅力を味わえないのだから、逆にもったいないことになる。
エンジンのトルクが高く、リアタイヤがフロントの2倍も減るようなクルマなら、フロントタイヤはそのままにリアタイヤだけを新品に交換するような使い方もあるが、そういうクルマは前後のタイヤサイズも違っていることも多く、フロントタイヤがパンクしたからリアタイヤをフロントに履かせるということができない場合も多い。
■FF車、ミニバン、SUVはどうなのか?
FFの場合は、フロントヘビーで駆動輪もフロントというレイアウトのため、フロントタイヤの負担が大きい。
しかし、だからといってリアタイヤを適当に扱っていると、痛い目に遭うことになる。最近また四輪操舵のクルマが登場しているが、リアタイヤの動きはFFであっても本当に重要だ。
わずかなアライメントの狂いでもクルマの動きに影響を及ぼすほどで、リアタイヤのグリップ力が変化すれば、クルマの安定性にも関わってくる。
FF車の場合、フロントタイヤ1本がパンクしたら、フロント左右2本を交換するのが正解。フロントタイヤはブレーキ、ハンドリングの性能に大きく影響を与えるからだ。
リアタイヤがパンクした場合も、それまでのフロントタイヤをリアに回して、新しい2本のタイヤをフロントタイヤとして履いたほうがいいだろう。
ミニバンの場合はFF車でもリアタイヤにも荷重が掛かっているので、乗員が多いとタイヤの負担も大きい。
ミニバン専用タイヤは、一般的にタイヤのケーシング剛性が強化され踏ん張るようになっていて重心の高いミニバンでも安定性を高めるよう設定されている。
ミニバンがパンクした場合でもほかのFF車と同様、1本だけ新品交換にするのではなく、各タイヤの摩耗状況を見ながらタイヤローテーションも視野に入れて、左右2本のタイヤ交換が基本だ。
意外とタイヤへの依存度が少ないのは、今流行りのSUVだ。もちろんパワフルな心臓を搭載し、ハンドリングも追求したようなグレードはタイヤグリップも重要だし、その感触もキチンと伝えてくる。
しかしタイヤが大きく、グリップ力にも余裕があるため、タイヤのコンディションによる影響は少ない傾向だ。
またSUVでもFF構造のクルマもあるから、リアタイヤの負担や減り具合は駆動システムによって変わってくる。
SUVでもタイヤがパンクして再使用できなくなった場合はタイヤ交換を行なうが、左右のタイヤのコンディションを合わせるのは基本的には同様。
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