JAF(日本自動車連盟)が実施しているロードサービスの調査によると、タイヤのパンク発生件数が2007年度の28万6934件に比べ、2017年度は39万1799件と、この10年間で10万4865件も増えていることがわかっている。
なぜこんなにタイヤのパンクが増えたのか? JAFによれば、定期的にタイヤの空気圧をチェックする機会が減っていることなどが要因と分析している。
そこで、本企画では、まずタイヤがパンクした場合の正しい対処法をはじめ、タイヤがパンクした後に待ち受けるタイヤ交換まで掘り下げて言及。
新品タイヤに交換する場合、1本だけ交換しても大丈夫なのか? それとも2本交換しなくてはいけないのか? さらにFF、FRなど駆動方式別で違うのか、など、モータージャーナリストの高根英幸氏が解説する。
文/高根英幸
写真/ベストカー編集部 Adobe Stock
■まずはパンクした場合の正しい対処法
最近のクルマはメンテナンスフリー化が進んだこともあって、タイヤの空気圧管理も忘れがちなドライバーが増えているようだ。そのため空気圧不足からタイヤが傷み、バーストやパンクを招くことも増えている。
タイヤの空気圧は日々、少しずつ変化している。基本的には空気圧は下がり続けているのだが、気温が上昇する時期は少しずつ抜けていく空気より、外気温上昇による圧力増加で少し空気圧が上がる日もある。
最近のクルマは快適過ぎて感じ取りにくいかもしれないが、空気圧が下がったまま高速道路などで連続走行すると、走行中にタイヤの変形量が大きいために温度が上昇してバーストすることにつながるので注意したい。
空気圧が下がった状態に気付かなければ、パンクしたとしてもすぐに気付かないドライバーも多い。
パンクの仕方にもいろいろあるが、ショルダー部やサイドウォールに異物が刺さったり、裂けてしまったようなもの、パンクに気付かず走行してサイドウォールを傷めてしまった場合は修復は不可能だ。
また、ガソリンスタンドなどで行なってくれるタイヤの外側からプラグを入れて塞ぐパンク修理は、実は応急修理なのをご存じだろうか。
走行可能な状態に修復できたとしても、後でタイヤの内側からも内部構造の損傷を確認し、内側からパッチを当ててしっかりと修理しなければ、完全なパンク修理とは言えない。
また応急修理を早く行なうことで内部のスチールベルトの酸化が抑えられ、それが原因で起こる後のバーストが避けられることにつながるのだ。
車載のスプレー式のパンク修理剤もあくまで応急用だ。使用して走行可能になっても、あとでタイヤ専門店やディーラーへ持ち込み、内部の充填剤を取り除き、パンク修理してホイールバランスをしっかりと取り直してもらう必要がある。
ちなみにランフラットタイヤは、パンクしても走り続けられることは知られているが、パンク状態で走行した場合、そのタイヤはパンク修理して再使用することはできないことは意外と知られていない。
ホイールに無線式の空気圧センサーを組み込んでいるクルマも増えてきた。これはパンクを検知するだけでなく、空気圧の低下を警告してくれるから、タイヤのダメージを未然に防ぐこともできる。
クルマによっては各車輪のハブに組み込まれている回転センサーによって、空気圧を監視している。
これは空気圧が少ないとタイヤが潰れる量が増えるため、実際のタイヤ直径が小さくなって、ほかの3輪と比べて回転数が早くなることを利用して、空気圧を推測しているのだ。
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