【水なら大丈夫なのか? にじむ程度なら問題ない?】クルマから漏れ出る液体の正体と対処法

 新しいクルマなら心配ないが、新車から10年以上が経過したクルマや走行距離の多いクルマだと、クルマから各種液体が漏れることはそう珍しいトラブルではない。

 昨今クルマを乗り換えるスパンが長くなっていることもあり、クルマの液体漏れの種類、原因、対処などを解説する。

 ただの水なら大丈夫? にじんでいる程度なら大丈夫?

 クルマの液体の種類と、それがどこから漏れるのかを知っておくだけで、トラブルを回避できたり、重症化を防ぐこともできる。

文:永田恵一/写真:ベストカー編集部、ベストカーWeb編集部


単なる水

■どこに漏れる?
(1)クルマの下側、(2)マフラーからの水滴など。

■原因
(1)はクーラー、デフロスト(曇り取り)に使うエアコンの排水、(2)も排気ガスに含まれる水分なので、単なる水がクルマから出るのは問題ない。

アイドリング時など夏場はわかりにくいが、冬場なら水蒸気が出ているのはいたって普通の光景。 マフラーから漏れ出る水蒸気やそれが結露した水滴は問題なし

冷却水

■どこに漏れる?
(1)エンジンルーム内、クルマの下側、(2)前席足元など。

■原因

 冷却水の場合、たいてい赤か緑色の水で、甘い臭いがするのが特徴なので、見た目と嗅覚の両面で判断するのが得策だ。ただの水との違いはこれ。

冷却水はマフラーなどから漏れ出る普通の水と違い色がついているのと甘い匂いがするのも特徴だ。写真では左端のピンクの液体が冷却水だ

(1)の場合
・冷却水を走行風で冷やすラジエーター、冷却水が通るゴムホースなど破損や劣化
・冷却水を循環させる補機であるウォーターポンプそのもの、ガスケット(ゴムのパッキン)の劣化
・冷却水をヒーターの熱源として車内に引き込む切り替えを行うヒーターコック(樹脂製のことが多い)の劣化による破損
 など原因は多岐に渡る。

(2)の場合はヒーターの熱源となる冷却水が循環するヒーターコアが破損しているケースが考えられる。

■対処
 冷却水漏れはここ20年くらいの正常な日本車ならめったに起きないオーバーヒートにつながり、エンジンに重大な損傷を与えることもある。

 エンジンに損傷を与えるともっと多額の修理代も掛かるので、見つけたら主として部品交換となる修理が即必要だ。いずれにしても有色の水が漏れていたら、冷却水漏れと思ってほぼ間違いない。

エンジンオイル

■どこに漏れる?
(1)クルマの下側、(2)エンジンルーム内。

■原因
(1)の場合
・エンジンオイルが溜まるオイルパンの液体パッキンの劣化
・クランクシャフト前後のオイルシール(オイルが漏れないためシーリングとホコリなどが入らないようにする重要なパーツ)の劣化

(2)の場合
・エンジン上部になるエンジンのフタ的な存在のヘッドカバーのガスケットの劣化
・エンジンオイルが通る配管の劣化、損傷
・ターボチャージャーの不具合
 など原因は多岐に渡る。

エンジンオイルが漏れるのはエンジンルーム内、下回り。下回りは写真のようにドレンボルトの周りが危ない。交換時の締め付け過ぎもオイル漏れの要因のひとつ

■対処
 エンジンオイル漏れはエンジンオイルの異常な減りによるエンジンの焼き付き、漏れたエンジンオイルが高温となる排気管に掛かれば車両火災につながることもあるので、基本的に即修理が必要だ。

 ただエンジンオイルのにじみであれば、「しばらく様子を見てからなるべく早く対処する」という方針もベストではないが、許容はできる。

パワーステアリングフルード

■どこに漏れる?
 主にエンジンルーム内。

■原因
 ここ15年ほどのクルマは電動パワステが増えており、パワステにフルードを使う油圧パワステはかなり減っているが、パワステオイルが通るゴムホース、パワステフルードが溜まるタンクの劣化、破損などが考えられる。

■対処
 パワステフルードの漏れはハンドルが異常に重くなる、最悪異常な重さによりハンドルが切れなくなり事故にもつながるので、即修理が必要。

 にじみでも部品が劣化しているのは間違いないので、なるべく早い対処が必要だ。

ブレーキフルード

■どこに漏れる?
(1)タイヤの周辺、(2)エンジンルーム内。

■原因
(1)の場合はブレーキフルードが通るブレーキライン、キャリパーのゴムパーツの劣化、破損、(2)場合はブレーキオイルを送るもととなるブレーキマスターそのもの、シール類の劣化、破損などが考えられる。

■対処
 ブレーキトラブルは事故に直結するので、即修理が必要となる。とにかく急を要す。

ブレーキオイルが漏れていてもなかなか外からはわかりにくい。タイヤ周辺に漏れが発覚した時点でかなり危ない状態といえるので走行前点検が重要

ATF(ATの作動油)

■どこに漏れる?
 多くはクルマの下側。

■原因
 考えられる要因としてはATFのオイルパンのパッキンの劣化、ATFのオイルクーラーそのもの、配管の劣化、破損などがある。

■対処
 ATFがにじむ程度なら若干の時間的猶予はあるが、放っておくと重症化するので修理が必要となる。

ATFに限らず漏れ、にじみともわかりにくいものは、メーターパネル内の警告灯に注意することが大事になってくる。普段見慣れない表示が出現した時は緊急事態

MTオイル

■どこに漏れる?
 主にクルマの下側。

■原因
 MTのオイルシールの劣化などが考えられる。

■対処
 MTそのものを壊さないためにも早めの修理が必要だ。

MTのミッションオイルが漏れていると操作感が悪くなってくる。シフトチェンジの時にゴリゴリするな、入りづらいなと感じたらオイル漏れの可能性もある

ドライブシャフト

■どこに漏れる?
 タイヤの周辺(ドライブシャフトの場合はどちらかというと漏れるのはグリスなので、そのままの状態では発見しにくい)。

■原因
 主にドライブシャフトの接合部を守るブーツの劣化。

■対処
 損傷をひろげないためにも早期のブーツの交換、再グリスアップが必要となる。

ドライブシャフトブーツが破損してグリスが漏れ出していても外部からはわかりづらい。たまにはタイヤを外してチェックすることも必要だ

デフオイル

■どこに漏れる?
 クルマの下側。

■原因
 ドライブシャフトとデフの接合部のオイルシールの劣化、デフケースのパッキンの劣化などが考えらえる。

■対処
 早期の修理が望ましい。

古いクルマの下回りは、サビや滲んだオイルにホコリが付着しているケースも多い。なかなか下回りを点検することはできないので、整備工場に依頼するのが得策

ショックアブソーバー

■どこに漏れる
 ショックアブソーバーそのもの(そのためクルマをそのまま置いている状態での発見は難しい)。

■原因
 ショックアブソーバーそのものの劣化、ショックアブソーバー内部のオイルシールの劣化。

■対処
 オイルの滲みならとりあえず問題はないが、オイル漏れの場合はショックアブソーバーの交換が必要。

 ただしオイルの滲みでもショックアブソーバーが劣化しているのは確かで、ショックアブソーバーの交換はリフレッシュ効果も大きいので、思い切って交換を考えてもいい。

ショックアブソーバーの断面図。この筒の中にオイルが満たされていているが、ブレーキオイル同様に漏れがわかりづらい。乗り心地の悪化はそのサインのひとつ

★    ★    ★

 クルマからの液体漏れはそのままにすると重大なトラブルにつながることも多いので、早期発見のため一晩クルマを止めた後に「地面に何か漏れてないか確認する」「普段しない臭いがしたら注意する」といった習慣を着けてほしい。

 また液体漏れは前述した確認だけでは発見できないことも多々あるので、新車から5年以上経ったクルマに乗っているならディーラーなどで年に1回12か月点検を受け、早期発見&早期解決(=修理代も早いほど安い)を心掛けるといいだろう。

 なお液体漏れの対処には漏れ止材と呼ばれるケミカルを使う手もあり、副作用なく効果が期待できる商品もあるので、修理の際に相談の上で使ってみる価値はある。

 視覚、嗅覚の両面から漏れとその種類を把握できるようにしたい。

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