【アイドリングストップが悪の元凶!?】知らなきゃ損する現代バッテリー事情

 バッテリーはクルマの消耗品の代表的なパーツながら、使用コンディションがよければ、10年無交換で過ごしているというケースも珍しくない。

 しかし、そのバッテリーの寿命が短くなっている。と聞くと、バッテリーの耐久性能って退化しているの、と感じるかもしれないが、性能面でも耐久性の面でも大きく進化している。

 では、なぜバッテリーの寿命が短くなっているのか? それはここ10年くらいで一気に普及したアイドリングストップや充電制御によってバッテリーに使用頻度がケタ違いに増え、バッテリーの負荷が増大しているからだ。

 それに加えてバッテリーの高性能化によりバッテリーの価格も高くなっている。軽自動車やコンパクトカーのバッテリーは安い、というのも過去の話となってきている。

 ここでは、現代のバッテリー事情について考察していく。

文:永田恵一/写真:ベストカー編集部、ベストカーWeb編集部


現代はバッテリーにかかる負荷が激増!

 クルマに限らずバッテリーに求められる性能は、安定した電力の供給と繰り返し使われても性能の劣化が少ない耐久性、この2つがとても重要になってくる。

 これは時代を問わず、今も昔も同じで、バッテリーからの電力によりエンジンを始動させることができ、オーディオ、カーナビ、灯火類などを安定して使用することができる。

 しかし、アイドリングストップが当たり前になった現在では、エンジン停止→再始動が頻発する。エンジンを再始動する際にはセルモーターを回すため、バッテリーは非常に酷使されている。

 バッテリーに最も負荷がかかるエンジンの始動(バッテリーの10~20%を使うと言われている)が頻発するわけだから、アイドリングストップ車のバッテリーが疲れないわけがない。

今や軽自動車から大型セダン、SUVまでアイドリングストップは当たり前の装備になっているが、このアイドリングストップがバッテリーに大きな負担となっている

 さらに、最近のエコカーは充電制御が一般的になっている。クルマは走行中にオルタネーターで発電しバッテリーに電力を蓄えるが、充電制御車は走行状態やバッテリーの充電状態によりオルタネーターの発電をストップすることによってエンジンの負荷を小さくして燃費を向上させている。

 ちなみに低排出ガス車、燃費基準達成のステッカーが貼ってあって、車検証の車両型式が『CBA』、『DBA』で始まるクルマは充電制御車である可能性が高い。

 つまり、アイドリングストップ車、充電制御車(セットになっていることが多い)に搭載されるバッテリーにはタフな耐久性とともに高効率かつ急速に充電する能力が求められる。

 これはハイブリッドカーに搭載されている補機用バッテリーについても同様だ。

アイドリングストップ車のバッテリーの寿命は短い!?

 バッテリーメーカーの研究開発によりバッテリーの耐久性能は飛躍的に向上しているが、バッテリーを酷使し続けるアイドリングストップにより、アイドリングストップ車のバッテリーは未装着のクルマに対して耐久性で劣る。

 実際にアイドリングストップ未装着車のバッテリーのメーカー保証が、『5年または5万km』が一般的なのに対し、アイドリングストップ車は『18カ月または3万km』と大幅に短縮されていることからも寿命が短いのは一目瞭然。

 メーカー保証はあくまでもマージンを残した期間、距離なのでこれを超えても元気な状態のケースもあるが、交換目安として考えてほしい。

 つまり、アイドリングストップ装着車のバッテリーの寿命は18カ月と超短いのだ。18カ月といえばたった1年半!  1年半で交換するのは痛すぎる。

ダイハツの誇るエコカー、ミライースもアイドリングストップを搭載。燃費も向上するが、いいことばかりではないことも覚悟しなければいけない

 アイドリングストップはバッテリーの充電量が十分でないと信号や渋滞などでエンジンが止まらない。アイドリングストップの頻度が減ったと感じたら、1回では判断できないもののバッテリーが劣化しているサインである可能性が高いので様子見が必要だ。

エコカーはバッテリーも専用で高価!?

 アイドリングストップ車のバッテリーの寿命が短いのはわかってもらえたと思うが、アイドリングストップ車に搭載されているバッテリーは、一般的なバッテリーに比べて高いのが厄介だ。

 交換サイクルが短くてしかも高い、となれば出費はかさむばかり。

軽自動車のバッテリーは量販店で購入すれば5000円前後で購入できて安い、というのは現代では通用しない。消耗品といっても高価なのでかなり痛手となる

 昔のイメージでは、軽自動車やコンパクトカーといった容量が小さなバッテリーは、量販店に行けば5000円程度で購入できた。しかし、アイドリングストップ車のバッテリーは一般のバッテリーと違い専用品となっている。だから高いのだ。

 ネット通販などでも軽自動車、コンパクトカークラスでも1万円程度するし、ディーラーで交換となれば更なる出費を覚悟しなくちゃいけない。アルファードクラスになると目が点になるほど高くなる。

 では、アイドリングストップ車に一般のバッテリーを装着するとどうなるのか?

 交換サイクルが早いなら安いほうがいい、と考えたくなるが、アイドリングストップ機能を充分に使えないケースが出てきたり、専用バッテリーよりも早くダメになり、1年ももたないといわれるくらいなので結局は大損することになるからお薦めできない。

セレナS=HYBRIDは鉛バッテリーを2個搭載する。アイドリングストップのバッテリーへの負担を軽減するためとはいえ、ディーラーで交換すれば6万円はくだらない

専用バッテリーと一般バッテリーの見分け方

 性能面では一般バッテリーを大きく凌駕するアイドリングストップ用バッテリーだが、外観上の差はない。そのため、バッテリーのサイズ表記で見分けるしかない。

 まずは一般のバッテリーの表記についてみていこう。日本車のバッテリーはJIS規格でサイズなどが決まっていて(輸入車は別規格)、以下のような表記が使われている。

65D23R

65:性能ランクと呼ばれ、バッテリーの総合性能を数字で表記。50未満は2刻み、50以上は5刻み。容量ではないが、数字が大きくなるほど高性能で容量、始動性能とも上がる

D:バッテリーの短側面のサイズでA~Hまであり、Aが最小、Hが最大

23:バッテリーの箱の長辺の寸法で単位はcm

R:バッテリーのプラス端子を手前にした時に上から見てプラス端子が右側にあるとR、左側にあるとLとなる。特殊端子は無表記

このバッテリーの場合、プラス端子が左側に位置するので表記はLとなるが、アイドリングストップ専用バッテリーの場合は無表記になることを覚えておこう

 それに対し、アイドリングストップに対応した専用バッテリーは、一般のバッテリーと区別するために新たな型式表示が規定された。

Q-55R

Q:バッテリーの短側面サイズで、Qは一般バッテリーのD23に相当。アルファベットがまったく違うので要注意

55:性能ランクで、一般バッテリー同様に大きくなるほど高性能

R:端子の位置に関しては一般バッテリーと同じだが、Lの場合は無表記になるので要注意

 という感じで、アイドリングストップ対応バッテリーの表記方法は簡素化されているが、短側面のサイズ表記、端子表記が一般バッテリーと違うため注意が必要となる。

 バッテリーは端子の位置が逆のものを購入するとどうやっても取り付けることができないので、端子がどっちかわからなかったら購入しないこと。

アイドリングストップはカットするのが得策!?

  クルマで最もバッテリーを酷使するエンジンの始動を繰り返し行うアイドリングストップがバッテリーの劣化の元凶であることはわかってもらえたはず。

 ではアイドリングストップ車に乗っていて、バッテリーを長持ちさせる方法はないのか?

 それはカンタン、アイドリングストップを使わなければいい。アイドリングストップはたいていはボタン操作でオン/オフの切り替えが可能。燃費にも環境にもいいアイドリングストップをカットするのは本末転倒のような気もするが……。

クルマにはいろいろな操作スイッチまたはボタンが存在するが、写真の一番右がアイドリングストップのカットスイッチ。カットする習慣を点ければバッテリーも長持ち

 アイドリングストップは確かに燃費が向上する。しかし燃費が倍になるわけではなく、よくて20%程度と考えると、燃費の向上ぶんでバッテリー代をペイするのはほぼ不可能。

 アイドリングストップ車のバッテリーを長持ちさせるために以下のことを提案したい。

■渋滞ではカットする
■夏場にエアコンを使用する場合はカットする
■冬場にヒーターを使用する場合はカットする

 つまりそれでなくてもバッテリーに負荷がかかる状況で、アイドリングストップの激務を避けてやるだけでバッテリーの耐久性はかなり違う。つまり、オールカットではなく、TPOを限定してカットすれば燃費の悪化も防ぐことができる。

車両クラスが上になるほどバッテリーランクも上になり、必然的に高価になる。アイドリングストップにより燃費は向上するが、TPOによってカットするのが賢明

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