120km/h区間なのに追い越し車線に出てくる日本の大型トラックドライバーは「マナー最悪」か?【清水草一の道路ニュース】

◾️日本は合流速度が遅すぎる!

 もうひとつ見逃せないのは、日本とドイツとでは、合流車の速度が違う点だ。

 日本では、インター等から合流してくる乗用車の多くが、せいぜい70km/hくらいまでしか加速せず、クルマの隙間を見つけて合流している。100km/hにまで速度を上げるのは、本線に合流してから。本線の走行車線を走るクルマは、合流車を見つけると一斉に追い越し車線に逃げている。

 大型トラックは重いので、一度速度が下がると、回復させるのに時間がかかる。結果的に日本の片側3車線区間では、多くのトラックがずっと第二通行帯を走っている。

 日本では、第一・第二通行帯とともに「走行車線」とされており、ずっと走っても違反にならない(厳密には大型車は第一通行帯に戻る義務があるが、黙認状態)。大型トラック同士の追い越しは、走行が禁止されているはずの第三走行帯にならざるを得ない(これも黙認)。

 アウトバーンでは、十分に加速してからの合流が徹底しており、本線の流れより遅い速度で合流するクルマはまずいない。混雑度も低いから、合流車に流れを妨げられるというケースがほとんどなく、大型トラックは安心して第一通行帯を走ることができる。

速度無制限であっても、驚くほどマナーがよく、混雑も少ないドイツのアウトバーン(筆者撮影)
速度無制限であっても、驚くほどマナーがよく、混雑も少ないドイツのアウトバーン(筆者撮影)

 日本でも教習所では、「高速道路に合流する前に、十分に加速しましょう」と教えているが、実際に路上に出ると、ほとんど忘れられている。「急加速は危険」という刷り込みのほうが、圧倒的に強いのだろう。

 こういった要因が組み合わさって、日本の高速道路では、最高速度120km/h区間でも、第三走行帯に大型トラックがちょいちょい出てきて、1~2km/hの速度差で長々と追い越しをかけるという状況が生まれている。それを、トラックドライバーのマナーだけの責任にするのは難しい。

【画像ギャラリー】追い越し車線を走るトラックに関する写真を見る!(4枚)画像ギャラリー

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

不死鳥のごとく蘇る! トヨタS-FR開発計画は再開していた! ドリキンこそレジェンドの土屋圭市さんがトヨタのネオクラシックを一気試乗! GWをより楽しく過ごす情報も満載なベストカー5月26日号、堂々発売中!