NAとターボの価格差は平均6万~8万円
軽自動車では、各メーカーともに、ほとんどすべての車種でエンジンが共通化されるから、ターボは登録車に比べると価格が安い。
ターボを装着したグレードに、アルミホイールやパドルシフトなどの装備が加わる場合もあるが、これらを差し引くと大半のターボの正味価格は10万円以下に収まる。軽自動車のNA車とターボ車の平均的な格差は6万~8万円だ。
N‐BOXのターボ車が約15万~約20万円高いワケ
しかし、日本国内の最多販売車種となるN-BOXはターボ車の価格はNAに比べ15万3360~19万6560円ほど高くなっている。なぜN-BOXの価格差は平均な価格差より高いのか、見ていきたい。
N-BOXは車両重量が900kg前後に達するから、パワー不足を補う手段としてターボの装着が効果的だ。ターボの最大トルクは10.6kgmに達するため、NAエンジンの1.6倍に相当する。
一方、JC08モード燃費は5~7%しか悪化しないから、N-BOXではターボを装着するメリットが特に大きい。
価格差の一例を挙げよう。カスタムG・Lターボホンダセンシングの価格は、NAエンジンのカスタムG・Lホンダセンシングに比べて19万6560円高いが、NAエンジンにオプション設定される右側スライドドアの電動機能(オプション価格は5万4000円)も加わる。
シート生地も上級化して後席にはセンターアームレストが備わり、ステアリングホイールが本革巻きになってパドルシフトも装着した。さらにアルミホイールは14インチから15インチに拡大される。
これらのターボに加わる装備を価格に換算すると約11万円相当だから、ターボは8万~9万円と見積もられる。この価格は、ターボエンジンの平均的な相場とされる6万~8万円にほぼ合致する。
なおN-BOXの場合、後席のセンターアームレストはターボの専用装備だ。さらにシート生地がプライムスムース&トリコットに上級化されるのは、カスタムのターボに限られる。
つまりN-BOXのターボは、居住性や内装の質感を高めたいユーザーにとっても、魅力的なグレードとなっているのだ。
■N-BOXの場合
●NAエンジン搭載車
658cc直3:58ps/6.6kgm
JC08モード燃費:27.0㎞/L
価格:ベンチシート仕様/Gホンダセンシング=138万5640円、G・Lホンダセンシング=149万5640円。スーパースライドシート仕様/G・EXホンダセンシング=159万6240円ほか
●ターボエンジン搭載車
658cc直3ターボ:64ps/10.6kgm
JC08モード燃費:25.6㎞/L
価格:G・Lターボホンダセンシング=169万5600円(ベンチシート仕様)、G・EXターボホンダセンシング=174万9600円(スーパースライドシート仕様)、G・スロープLターボホンダセンシング(188万5600円)
◆NAとターボの価格差/同グレードの比較で15万3360~19万6560円
新型タントはXグレード比較でターボが9万7200円高
■新型タント
●NAエンジン搭載車
658cc直3:52ps/6.1kgm
JC08モード燃費:27.2km/L、WLTCモード燃費:21.2km/L
価格:L=130万6800円、X=146万3400円
●ターボエンジン搭載車
658cc直3ターボ:64ps/10.2kgm
JC08モード燃費:25.2㎞/L、WLTCモード燃費:20.0㎞/L
価格:Xターボ=156万600円
◆NAとターボの価格差/Xグレード比較で9万7200円
同じ車種でも標準ボディとカスタムではターボの正味価格に差が生じることもある。新型タントの場合、標準ボディのXターボはNAエンジンのXに比べて9万7200円高い。装備の違いはATレバーのメッキボタン程度だから、ほとんど減額にならない。
同じタントでも上級のカスタムにターボを組み合わせたRSは、NAエンジンのXに比べて8万1000円の上乗せだから、標準ボディよりも安い。
しかもRSではステアリングホイールとATレバーが本革になり、アルミホイールのサイズもカスタムXが14インチ、RSは15インチに拡大される。こうなるとターボの正味価格は実質6万円で、標準ボディのターボに比べると約4万円安い。
これはもともとカスタムの価格が標準ボディよりも全般的に割高で、ターボの価格上昇を吸収して低く抑える余裕があるためだが、ターボの価格も戦略的に決まることが多い。
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