「認証不正問題」は結局誰が悪かったのか?「喧嘩を煽ったメディアの勉強不足も原因」有識者が喝!!

■そもそも勉強不足のメディアも原因のひとつ

ーー今回の件は、日本の自動車産業全体にとってどんな変化をもたらすのでしょうか?

清水/今回すべて明らかになって、よかったと思うんです。悪い部分がすべて表に出て、認証部分の重要性が上層部も世の中もわかったわけです。「しわ寄せ」を放っておくと大変なことになるということもよくわかった。パンドラの箱が開いてよかったんじゃないかとも思います。

ーーたしかに。

清水/認証や開発がやむを得ない理由で遅れるなら、なるべく早く経営側に報告するべきでしょう。バッドニュースを上に上げられる風通しのよき企業風土が必要だと思います。経営側も現場に物差しを充てることを怠ってはいけないと思います。そして今回の件は未来志向で考えなくてはなりません。今後モビリティの進化にともなって、たとえば欧州からバッテリーの欧州電池規制法が来ます。クルマの履歴もブロックチェーンで、分散型台帳でやろうという話もある。日本は輸出立国ですから、自動車メーカーには世界中にクルマを売って、外貨を稼いできてもらう必要があります。これからは国土交通省だけでなく、総務省や経産省や環境省や警察庁と協調して、クルマと制度を作っていかなければなりません。

ーー国交省とメーカーが喧嘩している場合ではない、と。

清水/そもそも喧嘩じゃないんですよ。一部の、実際の運用や制度をよくわかっていないメディアやジャーナリストが騒ぎ立てていましたが、そういう理解は本当によくない。不勉強です。

ーー失礼しました。

清水/かつて日本は欧米から言われたルールを丸呑みするしかなかったわけですが、いまは違います。これはぜひ検索してほしいんですが、日本は自動運転技術を進めるために、2018年4月に「自動運転に係る制度整備大綱」を公表しました。これは省庁を横断し、そのうえで官民一体になって自動運転技術を進めましょう、という方針です。道路運送車両法も道交法も、自動運転を進めるうえでどういうかたちがいいか考えて、必要なところは改正していきましょうという話になりました。

ーーまさに官民一体となって。

清水/そうです。そうすることによって、道路交通に関する条約(ジュネーブ条約)に係る国際的な議論に当たってリーダーシップを発揮できるようになりました。こういうことを、自動運転技術分野だけでなく、バッテリーやデータ連携の世界でもやっていく必要があります。今回の件を、そういう「官民一丸となって進める」契機にしていく必要があります。だからこそ、まずはメディアが、こういう事情を把握して、国の役目とメーカーの役目を理解する必要があるんです。

ーー大変勉強になりました。ありがとうございました。

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