消費税が10%へ増税されるのは2019年だ。
しかし、実はその消費税引き上げまでの約3年の間にもエコカー減税が見直され、買うクルマによっては実質的に税負担が増えるケースも発生する。新車購入の支払い額にも直結するエコカー減税はどう変わるのか?
文:渡辺陽一郎
ベストカー2017年1月26日号
エコカー減税は2年延長。しかし減税率は見直される
消費税が10%に引き上げられた時点で、自動車の税金を見直すことがすでに決まっている。自動車取得税は廃止され、その代わりに環境性能割を導入する。
ただし、この内容は今のエコカー減税を含んだ自動車取得税と実質的に同じだ。
平成27年度/32年度燃費基準がベースになり、平成32年度燃費基準プラス10%を減税から免税に変更するといった内容だ。
納める税額が少し減るものの、実態は自動車取得税の存続になる。
そして、消費税率を10%に引き上げる時期が延期され、引き上げは2019年10月になった。3年近く先の話なので、それまでの自動車税制が気になる。
平成29年度税制改正大綱によると、エコカー減税を2年間延長するが、エコカー減税率は2017年度/2018年度で段階的に見直す。自動車税と軽自動車税のグリーン化特例も同様だ。
大きく変わるのはエコカー減税で、現時点で最低レベルの減税を受けられる平成27年度燃費基準プラス5%は、2017年度以降は減税の対象外になる。
■『燃費基準』とは
クルマの重量ごとに、基準となる燃費を設定したもの。例えば、「平成27年度燃費基準」では、車重971kg以上 1,081kg未満で燃費21.6km/L以上が“基準+5%達成”の値。
写真のフィットRS(1.5Lガソリン車、FF)も「平成27年度燃費基準+5%達成車」となる。+5%達成車は、これまで取得税と重量税の軽減を受けられたが、来年度以降は、減税なしとなってしまうのだ
燃費基準の達成率が同じでも来年度以降は実質“増税”に
また、各燃費基準の達成率に対応する減税率も、2017年度以降は厳しくなる。
例えば平成32年度燃費基準を達成すると、現時点では自動車取得税が60%、同重量税が50%の減税だが、2017年度と2018年度では、取得税は20%、重量税は25%まで減税率が減ってしまう。
つまり、燃費基準の達成率が同じであれば、2017年度以降は納める税額が増えるのだ。
免税が減税に格下げとなるケースもある。今は平成32年度燃費基準プラス20%を達成すれば免税だが、2017年度以降は、平成32年度燃費基準プラス30/40/50%という新たな3つのクラスを設ける。
そして、2017年度以降は、平成32年度燃費基準プラス20%では、取得税が60%、重量税が75%の減税にとどまる。
免税とするには、2017年度では平成32年度燃費基準プラス30%、2018年度ではプラス40%を達成せねばならない。
従って2017年度以降はエコカー減税の獲得が厳しくなり、税額の増える車種が多くなるのだ。
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