三菱自動車は2025年8月27日、「2025年度第1四半期 決算補足説明資料」を公表し、通期業績見通しを改定した。7月24日に発表した1Q決算公表時点では、「日米自動車関税15%へ引き下げ」という報道の翌日だったこともあり、今期の見通しが不透明だったが、今回は「10月1日から(現在の関税25%から)15%になる」という想定のもと、通期見通しを公表した。以下、内容を整理してお届けします。
文:ベストカーWeb編集部/画像:三菱自動車
【画像ギャラリー】三菱自動車通期決算資料画像(修正版)(3枚)画像ギャラリー関税の影響は「底」が見えた
日米自動車関税は「15%」に落ち着きそうだが、実際に「(現時点25%から)いつ15%に下がるか」が決まっておらず、各メーカー不安がつのっている。そんななか三菱自動車は「10月1日から」と想定して、通期決算見通しの修正資料を公表した。
三菱自動車の2025年度通期見通しは、7月24日時点の予測値(営業利益1000億円)からさらに下方修正し、営業利益は700億円(営業利益率2.4%)へ。売上高は2兆9,500億円から2兆8,600億円へ900億円引き下げ、当期純利益は100億円見通しとした。想定配当は1株10円で据え置き。
米国の自動車関税が10月1日から15%に引き下げられるという前提を新たに織り込んだかたちだが、これは「関税ぶんの値上げはできない(販売促進費用として補填する)」ということと、対米以外の市場にも関税影響が出て競争が激化する見通しの影響といえる。
小売販売台数の通期見通しは86万9000台(期初比マイナス9000台)とした。北米は16万2000台(前年比-13%)と苦戦見込みだが、それでもカナダのアウトランダー、メキシコのエクスフォースが健闘しているため期初見通しから9000台積み上げ、日本は13万台で前年比+10%、主戦場のアセアンも28万5000台見込みで前年比+14%を見込む。
今回発表された補足資料によると、直接関税の累計影響はマイナス320億円と明示されており、米国関税が15%へ下がる前提を置いても、今期通期ではマイナスが残る読みだ。
今回のポイントは二つ。第一に、関税が25%→15%に下がる前提を置いても(10月以降想定)通期で見るとアメリカ関連のコスト増やミックス悪化、販売費の積み増しが依然として重く、営業利益面ではマイナス320億円の直接関税負担の影が残ること。
第二に、ASEANと日本の回復力が明確で、ここが通期700億円の“受け皿”になっていることだ。
会見ではアジアクロスカントリーラリーの優勝、日本での新型デリカミニの初披露と今秋発売、アセアン向け新型車「ディスティネーター」の市場投入開始など、上向く好材料も示された。実際、アセアン市場でも日本史上でも販売台数増を見込んでいる。
関税の影響は大きいが、好材料もある。がんばっていただきたい。





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