【宅配ドライバー残酷物語】 配達数200超……業界は崩壊寸前!?


 ここ最近、宅配業界ではネット通販大手などの再配達問題がクローズアップされている。

 国交省の資料によると、2015年度の宅配便個数は37億4500万個で、これは10年前と比べて10億個近いの激増となる。送料無料、即日配送、再配達。

 インターネット通販の隆盛で、そのしわ寄せが一気に襲った「現場」。宅配業界ではいったい何が起きているのか? 

 現役&元宅配ドライバーの生の声から、その厳しい現実が浮かび上がってきた。

 文:ベストカー編集部/写真:shatterstock.com、編集部
ベストカー2017年5月10日号


大手宅配A社現役ドライバー「ネット通販の大きな荷物が大量に…」

 ■話題のネット通販事情

ネット通販の普及で宅配件数は激増している

 大手宅配便B社が、ネット通販大手の荷物で苦しめられているという報道がされていますが、実際にはB社がやらない大きいサイズの荷物(物干し竿や棚、冷蔵庫、テレビなど)は、A社に来るんです。

 B社は、3辺の合計が160cm以上の荷物はやらないんです。

 その大きな荷物もウチに時間帯指定で来ます。台車に10~20個載せられる荷物が大量に来るのと、台車に1個しか載らない荷物が大量に来るのでは、どっちも厳しいんだよ、とホンネでは言いたいです。

 多いルートでは、宅配だけで1日に200件くらい荷物を扱う。自分のルートはそこまで多くないが、それでも140件くらい。それに商流の定期集荷120件、電話集荷もあるので、1日に200件超扱うことになります。

 ■お客様の無理難題を断ればクレームに

 それから、洗濯機を通販で購入した人の家に行った時には、「設置してくれ」と言われ、「運送屋さんなんで、そこまでは……」と断ったら、クレームになったことがあるし、中身をその場で出して、「箱いらないから持って帰れ」と言われることもあるんです。

 今のお客さんは、「お金は払わないけど、当然やってね」というスタンスの人が多く、お客さんの質も落ちてきていると感じます。

 クレームを入れられた場合、ひどい時にはトラックに乗れなくなることもあるし、当然給料も下がります。ドライバーとしてはそうなると面倒だし、何のメリットもないのでやるしかありません。

 ■理解のない行政と警察もドライバーを苦しめる

駐車禁止はもちろん交通違反。しかし、仕事としてそうせざるを得ない環境に置かれた人々がいるのもまた事実だ

 あと問題になるのが駐禁。集配スペースもあるけど、なぜかどの駐車枠も乗用車サイズしかなくて、宅配トラックは大きいので枠からはみ出してしまう。

 「やった! 空いてる」と止めても、「駐車枠から出ている」と切符を切られる始末ですから、「反則金とるために、わざとやってるでしょ!?」と勘ぐってしまう。

 物流という必要な業務だし、大目に見てもらいたいというのがホンネです。

大手宅配A社元ドライバー「定時で上がっていたら家族を養えない」

再配達は便利な制度だが、ドライバーにとっての負担は大きい

 中型免許の問題や、オートマ免許の問題などが関わってきますが、過酷な労働条件なのに給料が安い現実があり、宅配ドライバーもなり手がいないのが現状です。

 A社にいた当時は、時間帯指定の時間に3件くらい遅れると懲罰案件になることもありました。

 再配達の負担は大きくて、「私いたわよ、何でピンポン鳴らしてくれないの!?」とかクレームを言われたら、次の指定の時間にそのまま持っていくしかない。

 最近は企業対応が悪いと、すぐにメールでクレームを入れられてしまいますから。

 以前は会社のほうで、希望時間に対して、次に行ける時間をお客さんに伝えてくれていましたが、サービス合戦でそんなことを言っていられなくなってしまいました。

 現在もトラックの仕事はしています。日給月給制なので自由に休めますが、休んだぶんだけ給料が減る。だから、今年に入って(1~3月)一度も休んでいません。

 定時は8~17時ですが、定時に毎日上がっていたら、家族を養うことができない。日給は8000~1万円と安いですから、夜中まで仕事もしますね。

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