■具体的にはどんな不具合だったか?
もう少し深いアウトラインを紹介しておく。
今回の問題、開発を担当した日産側の再調査で発覚した。対象車両の衝突試験で使ったダミーの評価性能に問題があることが、開発終了後に判明。再度評価してみたらエアバッグが十分な性能を発揮出来ていなかったという。つまりダミーは間違ったデータを記録しており、不合格レベルだったのにOKとなり生産していたということです。
ただ決定的に危険なレベルかとなれば微妙。エアバッグは適正なタイミングで展開するようだ。とはいえ、いずれにしろ規制値をクリア出来ない可能性があるのは間違いない。その対応策のひとつが「吊紐付き」の採用。安価なエアバッグはサッカーボールのように丸く展開するため、顔面がズレやすい。吊紐付きなら(コストアップ要因になるものの)正確な展開コントロールを出来る。
その上で下肢(ヒザ)を受け止めるニーエアバッグを追加することにより、大腿骨や腹部だけでなく胸部が受ける減速Gを緩和させることが可能となる。安全性レベルでいえば大きく向上します。おそらく今回のリコールを受ければ、運転席の安全性はクラスTOPになることだろう。ユーザーからすれば長い間、安全性に課題を抱えたクルマに乗ることを余儀なくされたが、少しは気が晴れるか?
メディアに叩かれてお詫びするような事態にならなかったのはよかったけれど、安全性に問題を抱えたまま2ヶ月もお客さんに情報を出さなかった担当部署は猛省すべきだと思う。トバッチリを受けたのは三菱自動車で、日産が情報を出さないから2ヶ月の無視を付き合わされることになった。三菱自動者側の不満も大きいと聞く。日産は改めて顧客第一を考えるべきじゃなかろうか。
繰り返しになるけれど、唯一の救いは日産に自浄作用が残っていたこと。大きなケガなく一件落着です。ブランドイメージを上げるべく頑張って欲しい。
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