モリゾウさんは「兆しが見えてきた」と話した
では、モリゾウさん本人は今回の最高益をどうとらえているのか? 5月に宮城県利府町で行われた「ラリーチャレンジ利府」のスタート前に聞いてみた。
「私がやってきたのは、ロングセラーの車種を大事にすることです。カローラなら、セダン、スポーツ、ツーリング、クロスとあります。カローラの安心感は、お客様がよくご存じだから、クルマがよければ、売れると思っていました。
だから、看板車種であるカローラをとにかくよくしたいと思って、いろいろ注文を付けてきました。このことは、開発を担うメーカーだけでなく、お客様と直接向き合うディーラーにもいい影響を与えたと思います。
というのも、半導体の問題はじめ、人気車の納期が延び、お客様にクルマをなかなかお届けできない状況になっています。そういう辛い状況の中、ディーラーはお客様に納得していただいて、違うクルマを選んでいただける体制ができつつあります。例えば、カローラでもいろいろなバリエーションがあることが、ディーラーでは柔軟な対応ができるのだと思います。
販売現場でも売りたい、儲けたいではなく、いいクルマをお客さんに選んでいただくという、ごく当たり前のことが“普通”になってきたことが一番うれしいことです。
“もっといいクルマをつくろうよ”の思いが、メーカーにもディーラーにもようやく浸透してきた。社長になってから13年かかりましたが、兆しが見えてきた気がします。」
モリゾウさんは「兆し」という控えめな表現ながら、商品力の底上げと社内改革について、手ごたえを感じているようだ。
ところで、2009年社長就任に当たって社員に「もっといいクルマをつくろうよ」と発信した際にもうひとつ重要なことを話している。メッセージを今一度振り返ると、
「大切なことは『軸がブレない』ことだと思う。その軸とはただ1点『もっといいクルマをつくろうよ』ということである」とメッセージにある。
「軸がぶれない」は、言うまでもなくモリゾウさん本人が社長就任以来一番こだわってきたことだ。軸がブレないから、会社が一丸になり、変化を厭わない土壌が生まれ、いいクルマをつくるために変革を続けてきた。今回の最高益は、その努力が実った結果ではないだろうか。
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