居眠りは防止できないが、追突事故は減らせる!
では居眠り運転をした場合、そのまま走行を続けてしまう危険性をどう考えているのか、恩田氏に質問してみた。
「確かに、居眠り運転を防ぐことはできません。しかし、これまでは居眠りをしてしまったら、かなりの確率で衝突事故を起こしてしまいました。
しかし自動運転技術を導入したことで、たとえ居眠り運転をしてしまっても、前走車に追突する可能性は格段に下がります。そして車線逸脱をして壁などに衝突することも無くなる。これだけでも従来より大幅に衝突事故を起こす確率は下げられるのではないでしょうか」。
居眠り運転は防止できないことを認めた上で、これまでの大型トラックによる重大な交通事故は、かなり減らせるという見解を示してくれた。
あくまでドライバーが運転の主権を握るレベル2の自動運転では、労力は軽減出来ても運転中は気を抜けないのだが、自動運転の導入により運転に余裕ができることで油断したり、居眠りを誘発しやすくなる危険性もある。それによって、新たな種類の交通事故が起こる可能性も出てくるのだ。
現在も運輸会社によっては、ACCすら居眠り運転を誘発するとして使わせないところもあるほどだ。ちなみに今回のレベル2の自動運転もスーパーグレートにはオプション装備として用意される予定だ。
残念ながら一気に交通事故ゼロを実現できるような飛び道具のような技術は、現時点では存在しない。
ダイムラートラックは、レベル4の自動運転は2025年には搭載すると明言しており、それが叶えば、高速道路上での大型トラックの衝突事故は大幅に減少するだろう。
それでも居眠りによる追突事故は、レベル2の自動運転が普及することで確実に減少する。さらに導入によってドライバーの就労環境が改善されるなら大歓迎だ。
恩田氏は、日本国内の大型トラックが関係する死亡事故件数は、2012年~2016年に1071件発生していることを紹介。このなかの事故分類で、全体の36%となる「工作物衝突など」「追突など」「すれ違いなど」といった要因については、レベル2の高度運転支援技術の導入で軽減可能である考えを示した。
しかし、運転の負担が減るため「少しくらい無理して運転しても大丈夫」と、さらにドライバーが過労状態に陥ってしまう危険性も潜んでいる。
より厳格な運行管理システムの構築と、運輸会社だけでなく荷主や荷受け側も、適正な料金や余裕のある時間設定など、安全で確実な輸送のために物流業界全体で努力することが必要だろう。
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