■プロが使う道具やウィンドウフィルムとの違いは?
施工者の好みにもよるが、道具に関してはプロ専用のものはほぼないと思っていい。しいていえばヒートガンくらいだろうか。ホームセンターなどで売られている道具を購入したあと、自分好みにアレンジしているようだ。
ただ、フィルムに関しては業務用のものが存在することは確かだ。市販品よりも耐久性があり、フィルムに厚みがあり、施工に技術が伴うものもある。つまり「プロ(業務)用」というわけだ。
市販品も、かつては安物のウィンドウフィルムだと経年劣化とともに色が抜けてしまうことが多かった。しかし現在は品質が向上し、数年程度では色抜けしないものが多い。
しかも「車種ごとにカット済み」という、かつては施工のたびに型紙を当ててフィルムをカットしていた筆者からすると夢のような話が現実となった。
機械によるレーザーカットなので、人間がカットしたフィルムとは比較にならないほど見た目も美しい(大半の部分が隠れてしまうので、実際にはあまり気にする必要はない)。
■素人とプロが施工する際の決定的な違いは?素人にもできるのか
前述のフィルムの品質はもちろんのこと、最大の違いは「施工技術の差」だろう。
「素人にもできるのか?」と問われたら「やってやれないことはありませんが、多くの場合、きっと徒労に終わります」と答えるだろう。
練習を繰り返せば多少不器用な人でもコツをつかむことができる。しかし、当然ながらフィルム代はすべて自腹だ。さらに、練習でうまくいっても、本番でミスをしたら1からやり直しだ。
ミニバンであれば、左右のセカンドシートのドア、左右のサードシート部のリアクォーター、そしてリアガラス。全部で5枚、これらすべてをノーミスでクリアしなければならない。
DIY経験者であれば想像できると思うが、素人が同じ技術レベル・環境を用意するのはかなりハードルが高い。
ホンの些細なミスでフィルムにゴミや埃が大量に付着するか、車内が汚れたり、最悪の場合は故障要因の引き金になりかねない。
ウィンドウフィルムの施工は一発勝負。失敗してもやり直しは御法度。すでにゴミや埃が付着していたり、折れている可能性もある。泣く泣くはがして新たなフィルムを用意するしかない。
それはつまり、ごまかしが効かない職人技が要求されることを意味する。気合いや根性といった力業ではまず成功しない作業だということだ。
どうしてもDIYで貼ってみたい・・・というのであれば、YouTubeなどの動画サイトに施工方法を解説する動画がたくさん公開されているので、予習用の教材として活用したい。
この一連の動作は文字と静止画ではなかなかイメージがつかめない。動画がベストだ。動画をチェックした時点で大変そうだと思ったら早々に離脱した方がよいだろう。
むしろ挑戦意欲が湧いた! という場合は、100円ショップで必要最低限の道具をそろえ、もっとも施工が簡単なリアクォーターなどはめ殺しの窓で試してみることをおすすめする。
これでゴミや埃があまり入らなかったら他のドアやリアガラスにチャレンジしてみてもいいかもしれない(ただし、ドアになると一気にハードルが高くなるのでそれなりの覚悟が必要だ)。
今回、筆者自身も久しぶりにウィンドウフィルム施工に挑戦してみた。クルマは日産セレナ、運転席・助手席(それぞれのクォーター含む)にUVカットフィルムを貼ってみることにした。
その結果、クォーターはどうにか貼れたが、ドア部分のガラスはあえなく施工中にフィルムが折れて失敗。せっかく購入したフィルムを無駄にしてしまった。
自分の実力を思い知らされたので、かつてお世話になったフィルム施工の師匠に連絡(泣きついたというのが正直なところだ)、施工してもらった。
この道20数年の師匠、あっという間にセレナのドアガラスの型を取り、フィルムをカットし、施工してしまった。まさに流れるような作業だった。
施工したフィルム面に顔を近づけて凝視してみたが、ゴミや埃がまったくといっていいほど入っていない。まさしく熟練の技だ。
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