フェアレディZ、スカイライン…マイナーチェンジで迷走したクルマ5選

スカイライン(9代目)

デビュー:1993年8月
マイナーチェンジ:1996年1月

R32は走りの評価は高かったが決して販売面で成功したわけではなかった。日産は居住性の悪さが販売苦戦の要因と判断しR33では大型化に舵を切って失敗

 先代の8代目モデルで自分らしさを取り戻し人気も復活したスカイラインだったが、日産の期待ほどは売れなかったというのも事実だった。

 日産はその理由を「8代目スカイラインはボディを小さくしたため車内が狭かったから」と分析したようで、9代目スカイラインでは8代目でスカイラインらしくせっかく小さくなったボディを拡大してしまった。

 クルマ自体は現在のターボ車に通じるような低回転域から扱いやすいリニアチャージコンセプトや燃料タンクをリアシート下に置く、バッテリーをトランクに置くといった重量配分の適正化など先進的な部分もあった。

 しかし如何せんイメージリーダーの2.5Lターボが当時のマークII三兄弟のツアラーVのような速さがないなど、スカイラインらしさに欠け、販売は伸び悩んだ。

4ドアセダンは直接のライバルであるマークIIに大きく販売面で差を付けられて迷走。リニアチャージのターボもパワー感が体感できずユーザーから不評だった

 1996年1月に行われたマイナーチェンジではスタイルが分かりにくいものになったほか、4ドアセダンではトランクを置いたバッテリーが「トランクを広くするため」という理由でエンジンルームに移動され、最初のポリシーを失ってしまった。

 マイナーチェンジで迷走感を増しただけに、9代目スカイラインが浮上できなかったのも当然だ。

ホンダエリシオン

デビュー:2004年5月
マイナーチェンジ:2006年12月など

ホンダ初のLクラスミニバンとして登場したエリシオンはスッキリしたデザインが好評だったが、存在感がイマイチなかった。エスティマとの差は歴然だった

 2004年5月に登場したエリシオンはエスティマが直接的なライバルながら、当時のアルファードやエルグランドとも競合するラージミニバンである。クルマ自体はサードシートの収納性が今ひとつな点以外は、ライバル車に勝る部分も多いいいクルマであった。

 しかしスタイルがこのミニバンに欲しい押し出しに欠けるクリーン過ぎるものだったことが原因だったのか、販売はホンダの期待には届かなかった。

 という事情もあり2006年12月のマイナーチェンジで威圧感あるフロントマスクと大きなテールランプを持つスタイルとし、エンジンも3.5L、V6としたプレステージを追加(のちに2.4Lも加わる)。クルマ自体は乗ってみればさらに高級感を増した。

ホンダ初のオラオラ顔ミニバンとしてプレステージを追加。300psの3.5L、V6を搭載してアルファード、エルグランドに対抗するも牙城は切り崩せず

 しかし販売政策上やむを得ない部分もあったにせよ、ポリシーに欠如や「初めからそうすればよかったのに」と感じたのも事実だった。

 残念ながら販売はマイナーチェンジ後もそれほど上向かなかったが、エリシオンの意思が現行オデッセイに受け継がれているのは救いである。

スバルインプレッサWRX STI(3代目)

デビュー:2007年10月
マイナーチェンジ:2010年7月

インプレッサWRX STIがハッチバックとして登場した時はかなりの衝撃だった。しかし塊感のあるデザインは好評で、ハッチバックのインプレッサWRC2008も投入された

 3代目モデルとなったインプレッサWRX STIは2007年10月に4ドアセダンから5ドアハッチバックとなって登場した。

 この5ドア化は当時インプレッサでWRCを走っていたペター・ソルベルグ選手からの「道幅を一杯に使えるよう次はリアオーバーハングの短いクルマにしてほしい」というリクエストも理由だったと言われている。クルマ自体もスパルタンなところをほどよくマイルドにするなど、ロードカーとしては正常進化した。

 しかし2010年7月のマイナーチェンジでWRX STIの4ドアセダンが追加される。WRX STIの4ドアセダンの追加に関しては「セダンのほうが空力が有利なのでサーキット向け」という理由のほか、スバルファンからのリクエストも強かったようだ。

WRX STIの4ドアセダンが追加されてから、スバルがラリーからサーキットにモータースポーツ活動の場を移していった

 バリエーションが増えるのはいいことで、販売も考えれば正しい動きではある。

 しかし前述した4ドアセダンの追加で5ドアハッチバック化のエピソードがスポイルされ、エリシオンプレステージと同じようなポリシーの欠如を感じたのも事実だった。

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