【ソアラ、プレリュード、S13シルビア】デートカーとはなんだったのか? 復活はないのか?


”恋愛仕様”というコピーで売れたS-MX

一代限りとなったホンダS-MX

 ちょっと余談になるが、そんなデートカーたちが謳歌した時代の後に登場したちょっと趣が違う若者向けのクルマもあった。1996年11月にデビューしたS-MXである。

 フロントシートは運転席と助手席の間にスペースがない、恋人同士がいちゃいやできるベンチシートを備えていた。

 前後のシートを倒せばフルフラットシートにもなり、後席サイドには、小物入れがあり、ドリンクホルダーはティッシュケースがそのまま入るなど、走るラブホなどと言われていた。

走るラブホといわれたS-MX。後席横のティッシュボックスが入る小物入れにも注目。なぜ前になくて後にあるのか……

なぜデートカーがもてはやされたのか?

1981年に登場したソアラ2800GTリミテッドのインテリア。豪華なモケットシートで憧れの象徴だった

 本物のスポーツカーに対して、いわゆる「デートカー」は、あくまで妥協点だったというニュアンスをご理解ください。

 というわけで、デートカーは速さ、あるいは速そうなカタチを持っており、それは経済成長下の若者たち(男)にとって、本能的な欲望の対象だった。

 しかも、女性たちもそれを好んだため、デートカーブームという巨大なムーブメントが生まれたのです。

 ではなぜ、女性もスポーティなクルマに乗りたがり、「あんなクルマでデートに連れてってほしい~」と思ったのか?

 実はそれもまた、豊かになる競争の一側面だった。

 当時はまだギリギリ、女性は「お嫁さん(専業主婦)になるもの」でした。つまり、豊かさは伴侶の経済力で決まる。

 だからなるべく豊かな男と付き合いたい。その豊かさの物差しとしてクルマは最適。クルマは速ければ速いほど豊かで、「おいしい」もの。

 そういうクルマに乗せてもらっている自分には、それだけの価値がある。カッコいいデートカーでデートに誘われると、仲間内で羨ましがられ、その分自分の地位が上昇するのである!

 バブル期は「三高」といって、高学歴・高収入・高身長の男が好まれたが、カッコよくて速いクルマもその一種。当時速さは禁断の蜜の味だったので、助手席に乗る女性にとっても、非常に価値があったのです。

 当時はクルマで飛ばして、「怖い~」「もう降ろして!」なんていう女性はまずいなかった。むしろ「すご~い!」「速~い!」「ジェットコースターみたい!」「もっと飛ばして!」「前のクルマ全部抜いて!」と言われたものです。それは今でいえば、「もっとお金稼いできて!」みたいな感じですかね……。

 その後、バブル崩壊とともに豊かになる競争は終わりを告げ、デートカーとしては、パジェロやハイラックスサーフなどのRVが人気なるが、そのRVブームも去り、さらにデフレが長期化すると、「貧乏にならない競争」が始まった。パワーやスピードは貧乏に直結するムダな要素となり、燃費のいいクルマに乗って安全運転する堅実な男が好まれるようになったのです。

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