こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】コルトラリーアート バージョンRはランエボ譲りの激辛ホットハッチ!!!

■ベース車と同じく“まじめまじめまじめ”に作られたホットハッチ

 2007年5月には、レカロ製フルバケットシートを標準装備し、専用のブラックインパネやランサーエボリューションと同一の本革巻き丸型シフトノブ(5速MT車)、専用バージョンアップRデカールおよびスカッフプレートなどのアイテムを装備した特別仕様車「RECAROエディション」を発売。同年11月にはマイナーチェンジを実施し、5速MT車のエンジンは最高出力が163psへと引き上げられた。

 さらに翌年の5月には、「バージョンRスペシャル」を発売。4つのドア開口部に連続シーム溶接を採用することでボディ剛性を大幅に高め、内外装に専用装備を施すことで走りにこだわりを持つユーザーを大いに満足させた。

 特に連続シーム溶接の効果は絶大で、従来のボディと比べて曲げ剛性で約10%の向上を実現し、車両のピッチング(縦揺れ)とロール(横揺れ)が抑えられてタイヤの接地性が高められ、ドライバーの意図に忠実な操舵応答性とトラクション性能を実現。

 バージョンRスペシャルは限定300台でリリースされ、好評のうちに販売は終了。しかし再販を望むユーザーは多く、2010年2月にはパージョンRスペシャルを限定200台で発売する。

 専用のシルバー塗装を施した12本スポークデザインの16インチアルミホイールを採用して足もとの印象を引き締めたり、ボディカラーにチタニウムグレーメタリックを新設定するなど、再販にあたって特別な装いを与えてスペシャル感をアップさせている。

運転席まわりはブラックを基調としながら、レッドメタリックのセンターサイドパネルやエアアウトレットリングをあしらってスポーティなドライビング空間を演出している
運転席まわりはブラックを基調としながら、レッドメタリックのセンターサイドパネルやエアアウトレットリングをあしらってスポーティなドライビング空間を演出している

 スポーツカーが衰退し、「ホットハッチ」という言葉すら死語となった現代では、コンパクトカーながらスポーティイメージが強調されたコルトラリーアート バージョンRのように尖ったクルマは、市場で受け入れられにくいかもしれない。

 しかし、クルマが持つ高いポテンシャルを使い切り、クルマを思い通りに操る楽しさを味わうには恰好のモデルだった。スポーツ性に特化したコルトの派生モデルだが、その中身はベース車と同様に“まじめまじめまじめ”に作られていたのは間違いない。

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