ホンダが蓄積した技術でしなやかな走りを具現化
走行性能においても卓越したバランスを誇っていることも見逃せない。低重心、ワイドトレッド、ロングホイールベースといった基本構成に加え、緻密に設計されたサスペンションと駆動系が、高速走行時の直進安定性と軽快なハンドリング性能を両立させている。
フロントサスペンションには、ホンダ伝統のストラット式を採用。スプリングとダンパーのマウントを並列に配置することで、十分なストロークを確保しつつも全長を抑えた「ローハイト設計」が可能となった。
これにより、低いボンネットラインと快適な乗り心地の両立を実現している。また、アンチダイブジオメトリーの採用により、制動時に前のめりになる姿勢を効果的に抑制。これが、安心感のあるブレーキングと走行中の車体安定性に大きく寄与している。
リアサスペンションは車軸式で、トレーリングアーム、パナールロッド、トーショナルアクスルビームから成る3リンク方式で、高速域での優れた直進性と、ワインディング路における接地性を確保している。
快適な乗り心地を支えるため、リアにはプログレッシブコイルスプリングを採用。巻き方に変化を持たせた非線形構造により、1名乗車から5名フル乗車までの荷重変化に柔軟に対応し、幅広い状況での乗り心地を確保している。
さらにガス封入式ダンパーを搭載してキャビテーションを防ぎ、微細な衝撃から大きな入力までをしなやかに吸収。特に荒れた路面での快適性において、その効果は顕著だった。
特筆すべきは逆U字型ビームのねじれを利用したニュートラルステア・ジオメトリーの採用だ。左右トレーリングアームの動きを調和させつつ、ロール剛性を最適化し、コーナリング時の応答性と安定感を高めている。また、リアにもアンチリフトジオメトリーを適用。制動時における後輪の浮き上がりを抑制し、制動時の姿勢変化を最小限にとどめている。
こうしたホンダの蓄積されたシャシー設計技術と、部品レイアウトの妙が随所に光る作り込みにより、コンパクトカーの範疇を超えた完成度を実現。走行安定性、快適性、そして応答性のいずれにも妥協せず、しなやかな走りを具現化している点が注目に値する。
初代が築き上げた圧倒的な販売実績には及ばなかったものの、2代目で掲げた設計思想と、それが実現した走行性能に注目したファンからは、高い評価を受けた。特にモータースポーツの世界では2代目シティの特徴である軽量・高剛性ボディや低重心設計、高回転型エンジンは、大きなアドバンテージとなった。
こうした優位点をいち早く見抜いたモータースポーツ愛好家は、2代目シティを競技用ベースマシンとして積極的に活用した。やがてシティは、FF競技車両の優良な入門車として地位を確立することになる。
2代目シティは、市販車として台数で結果を残した初代とは明らかに違うかたちで実績を残すことなったが、特にホンダの技術が結実した“走るための高性能な道具”として、マニアな層に深く刺さったことは間違いない。
これは決して偶発的なものではなく、開発陣が設計段階から低重心・軽量化・高効率といった、走行性能の本質に迫る思想を徹底して追求していた証と言えるだろう。


コメント
コメントの使い方珍車と言われてますが、楽しかったなぁ
特にターボは面白かったです
ドッカンターボって言われてましたよね