今年(2020年)創立100周年を迎えたスズキ。そんなスズキの名車たちをいくつかのテーマで選出する本企画。19日の前編に続いて、今回は後編だ。
自動車業界では名物経営者として知られる元CEOの鈴木修氏。前編ではその名語録も紹介したが、今回は特に渡辺陽一郎氏のハスラー誕生時の背景に興味深いものを感じる。
まさに「お客様の立場になったものづくり」という創業時の想いを体現するエピソードなのではないだろうか。
超個性派のコンセプトカーから、新たなメインストリームを切り開いたニュースタンダードカーまで。スズキのチャレンジが織りなした100年を見ていこう。
■スズキ100年 TOPIC年表
・1920年…鈴木式織機株式会社として、静岡県(現)浜松市で創業
・1954年…鈴木自動車工業(株)へ社名変更
・1955年…日本初、量産軽自動車スズライト(2サイクル360cc)発売
・1962年…英国マン島TTレース50cc部門で優勝を飾る
・1967年…タイ・スズキモーター社を設立(スズキ初の海外二輪工場)
・1970年…初代ジムニー誕生。2サイクル360ccモデル
・1978年…鈴木修、社長に就任
・1979年…初代アルト誕生。「アルト47万円」という宣伝が話題に
・1983年…インドでの四輪車生産開始
・1991年…ハンガリーでの四輪車合弁生産に正式調印
・1993年…初代ワゴンRが誕生
・2007年…インドの子会社を「マルチ・スズキ」社に社名変更
・2015年…鈴木俊宏、社長に就任
・2019年…トヨタとの資本提携を締結
●【画像ギャラリー】国内メーカーの小さな巨人! スズキ100年史の名車たち(後編)
※本稿は2020年4月のものです
文:渡辺陽一郎、ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年5月10日号
■2000年~2020年 スズキ名車5選
●質感が向上し、個性派モデルも登場したこの20年で、渡辺陽一郎氏が選ぶ5台がコレ!
(選出&TEXT/渡辺陽一郎)
●関連記事…アルト フロンテ ジムニー ワゴンR… ユーザー第一で歩んだスズキの100年戦記(前編)
スズキは1979年初代アルト、1993年初代ワゴンRを発売。大いに人気を集め、他メーカーからもライバルモデルが続出した。また海外進出も積極的で、スズキは1990年代までに国内と海外で強固な市場を築いてきた歴史がある。
2000年以降は、この流れを受け車種の選択肢を一層充実させている。背景にあるのは、スズキの創業当時から伝わる「やらまいか」(まずやってみよう、という意味)の精神だ。
これを特に強く感じたのが、2003年に登場したツイン。
●ツイン(2003年)
全長が2735mmというボディの短い2人乗りの軽で、最小回転半径も3.6mに収まる。軽自動車で最初のハイブリッドも用意され、エンジンと4速ATの間に薄型モーターを配置。駆動用電池はコスト低減のために鉛電池を積む。
ツインは個性的なクルマとあって1カ月の販売計画が200台にかぎられ、価格も安くはない。ゆえに普及はせずに1代かぎりで終わる運命に。が、スズキのチャレンジ精神がよくわかるクルマだ。
2002年に登場した初代アルトラパンにも「やらまいか」を感じた。
●初代アルトラパン(2002年)
水平基調のボディは角に丸みをつけ、独特のリラックス感覚を漂わせる。当時流行した「癒し/いやし」の語感に合ったクルマで、女性向けではあるが、落ち着いた外装色を選べば男性が使っても違和感はない。
1代かぎりで終わるアイデア商品と思ったが、フルモデルチェンジを繰り返して今は3代目。初代に比べると存在感が強まり、「癒し」のイメージも時代に応じて変化していることを思わせる。
2014年に発売された初代ハスラーは、ワゴンRのようなハイトワゴンとSUVを融合させて人気車に!
●初代ハスラー(2014年)
鈴木修会長が知人から、「私はスズキKeiに乗っているが、乗り替えるクルマがなくて困っている」と聞かされる。この話が発端に開発が始まり、商品化。軽に新たなステージを吹き込んだモデルといっていい。
小型車では2代目スイフトを挙げたい。
●2代目スイフト(2004年)
欧州車風のデザインが受け入れられ、世界的な人気車に。この流れが現行4代目にも続いているが、日本人に合う使い勝手のよさなど、トータルで2代目が推し。
最後は、先代より質感が上がった3代目エスクード。
●3代目エスクード(2005年)
ラダーフレーム一体型モノコックボディとなり、フルタイム4WDを採用。なるほど“世界戦略車”というクルマの出来が印象に残る。
これらのように、小さなクルマの可能性を広げて新たな需要を開拓。スズキのモデル戦略のひとつといえそうだ。
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