10年20年早かった!「今売ったらバカ売れだったかもしれないクルマ7選」

いすゞビークロス:1997年3~1999年2月(国内)

クロスオーバーSUVモデルの代名詞ともなっている艶消しブラックのバンパーやフェンダー、サイドステップが強調されているビークロス
クロスオーバーSUVモデルの代名詞ともなっている艶消しブラックのバンパーやフェンダー、サイドステップが強調されているビークロス

 おそらく現在の視点で改めて、デザイン重視の“クロスオーバーSUV”としてこの「ビークロス」を捉えても、なんら違和感を覚えない、というか今もってスタイリングは充分新しいとさえ思えるのはたいしたものだ。

 1997年3月に発表されたが、たった2年あまりの1999年2月に終焉を迎えたビークロスは、一部のコアなクルマ好きにはウケたものの、デザインや存在感があまりにも奇抜すぎたのか、そしてハードな乗り心地、3ドアボディという使い勝手などから一般層にはあまり受け入れられず、1999年2月に国内販売終了。

 販売台数はメーカーが想定した販売台数には到底届かず、わずか1700台あまりにとどまった。

 その後も北米仕様の生産が続けられ、エンジンが3.2Lから3.5Lに変更されるなどの改良を受けたが、2002年に販売終了となった。

 徹底的に曲面で構成されたボディデザインは、有機的という言葉がピタリとはまる。1993年の東京モーターショーで公開されたコンセプトカーのほぼそのままのスタイルだったので度肝を抜かれた人も多かったはずだ。

 デザイン全体のマネージメントを行ったのが後に日産のデザインディレクターに就任する中村史郎氏。

 あらゆる部分が隙なくデザインされ、斬新さを与えるために徹底的に作り込み、クロカンの既成概念を取り払ったスタイリングを成立させた。

 時は、1990年代前半のパジェロブームから、RAV4(1994年5月)、CR-V(1995年10月)、ハリアー(1997年12月)など、都会派SUVブームの時代を迎えた時代。そんな時代に生まれたビークロスは10年、いや20年は早かったかもしれない。

 ジムニーなどの軽から、ロールスロイスのような超高級車ブランドまでSUVを出す百花繚乱の今の方が100倍、マーケットニーズはあったかもしれない……。

ビークロスの中古車情報/中古車相場:49万~99万円、平均価格:51.7万円、流通台数:5台

ビークロスのコクピット。ベースのビッグホーンから大きく変更を受けていない。MOMO製ステアリング、RECARO製シートを装着していた
ビークロスのコクピット。ベースのビッグホーンから大きく変更を受けていない。MOMO製ステアリング、RECARO製シートを装着していた

日産キューブキュービック:2003年9~2008年11月

キューブの全長を170mm延長し、3列7人乗りとしたキューブキュービック
キューブの全長を170mm延長し、3列7人乗りとしたキューブキュービック

 キューブキュービックがデビューしたのは2代目キューブの登場から11カ月後、2003年9月のこと。

 キューブキュービックのボディサイズは全長3900×全幅1670×全高1645mmとキューブに対して、全長を3730mmから170mm延長し、ホイールベースは全長増加分の170mm延長した2600mmとして、3列小型ミニバンとして成立させた。

 エンジンも当初は標準仕様と共通の1.4L、直4のみだったが、2005年に1.5L、直4を設定して販売のテコ入れを実施した。

 たとえば、カローラスパシオ(全長4260mm、2代目)やモビリオ(全長4070mm)といった5ナンバーモデルでも全長は4mオーバーが基本。

 一般的にいわゆるミニバンで本気で荷室スペース(奥行きが50mm程度)と3列シートをキャビン内に余裕を持たせて成立させるには、全長は4700mm、ホイールベースが2700mmは必要というのが常識的だった。

 ストリームやウィッシュなどがこれに当てはまるが、これでは日本市場ではコンパクトではなく普通のミニバンでしかない。

 そこでキューブキュービックは3列シートを潔く緊急用や普段の荷物置き場ととらえて、キューブの個性的なスタイリングを壊すことなく仕立てたのだ。

 しかし、2008年11月に2列シートのキューブが3代目にフルモデルチェンジされるタイミングで、キューブキュービックは販売終了となった。

 キューブキュービックが販売されていた頃は、初代タントなどの軽ハイトワゴンが台頭してきた時代。やはり、軽ハイトワゴンに注目が集まり、影が薄くなってしまったのは否めない。

 2019年末でキューブ自体も販売が終了し、次期キューブが登場するのかどうかもわからない今、改めてキューブキュービックの再登場を熱望する。

 トヨタのハイトワゴン、ルーミー4兄弟が売れている今こそ、日産はキューブの次期型とともに、3列目が狭くてもいいので、ぜひ3列7人乗りのキューブキュービックを発売してほしい。

キューブキュービックの中古車情報/中古車相場:5万~45万円、平均価格:21.3万円、流通台数:104台

キューブキュービックの3列目シートは緊急用か子供用と割り切って使う広さ
キューブキュービックの3列目シートは緊急用か子供用と割り切って使う広さ

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