スズキツイン:2003年1~2005年12月
日本市場では日常の足としての軽自動車の地位に揺るぎないが、過去にスズキが軽よりもさらにコンパクトな、いわゆる街乗りに使用用途を限定した2名乗車のシティコミューターである「ツイン」を2003年1月に登場させたことを覚えているだろうか。
なにより、全長は軽自動車枠いっぱいの3395mmから660mm短い2735mmで、全幅は1475mm、全高は1450mm(ホイールベースは1800mm)の軽規格をフルに使って仕立てていた。
当時のアルト用ガソリンエンジンに今となってはいかにも旧式な鉛電池(バイク用12V仕様を改良)を組み合わせたとはいえ、軽自動車初の自社開発したハイブリッド機構を設定、コストを極力抑えることに腐心した。
モーターをエンジンと4速ATの間に挟み込む形式を採り、発進時のモーターによるアシストやアイドルストップを可能とした。
価格は、エアコン、パワーステアリング、パワードアロック、キーレスエントリーシステム、フルホイールキャップをきちんと装備した上位グレードの「ハイブリッドB」で139万円(税抜き)。
ハイブリッドは特装車扱いとされ、メインの販売車種はガソリン車であり、装備を省いたガソリン車「ガソリンA」の5MT仕様はなんと49万円(税抜き)だった。
まさに超小型車の先駆けといえたツインだったが、モデルとしての寿命は短い。2003年1月に発売したが、2005年2月にはハイブリッド仕様は廃止され、2005年12月には販売が終了、たった3年あまりの短命だった。
独特のキュートさを備えた見た目も走らせた印象も、超小型車に厳禁といえる安っぽさがなかったことなど、コンパクトカーとして見るべき点があったのにもかかわらず、評価されずに消えていったのは残念だった。
2020年冬にはトヨタが全長2490mmの超小型EVを発売するが、今こそスズキもツインのような2人乗りEVを発売したらいかがだろうか。
17年前に登場したツイン、今売ればもっと売れたかもしれないと考えると、なんとも不憫に思えてきた。
ツインの中古車情報/中古車相場:1.5万~108万円、平均価格:34.7万円、流通台数:140台
日産マーチスーパーターボ:1989年1~1991年12月
トヨタがラリーベース車、GRヤリスを発売したことが話題となっているが、かつて日産がマーチスーパーターボという、スーパーホットハッチを販売していたことを思い出した人も多いはずだ。
1982年に登場した初代マーチには、マーチターボ(76ps/10.8kgm)のほか、1988年8月には、モータースポーツ用競技車両としてマーチR、そして、マーチRをベースとした一般向けモデルのマーチスーパーターボが1989年1月に登場した。
型式はE-EK10。国際モータースポーツ規約の過給係数(1.7倍)、または国内競技の過給係数(1.4倍)を掛けた際に1600ccクラス内へ収まるよう、ベースとなったNAのMA10S型 987ccエンジンに比べて排気量をダウンさせ、930㏄となっている。
「R」と同じMA09ERT型エンジンは、ターボとスーパーチャージャーという2種類の過給機を搭載し、110ps/13.3kgmを発生。
低回転域ではスーパーチャージャーによる瞬発力を、高回転域では余裕のある最高出力を得ることに成功しているが、一方で2つの過給器を積んだことでフロントヘビーの原因ともなっている。
機構が複雑であるため、故障の際に修理費が高くつくなどの理由により、販売面では成功したとは言えなかった。そのため次期モデルには設定されず1代限りで廃止となった。
ターボ&スーパーチャージャーというツインチャージャーは、ラリー競技車両のランチデルタS4(1985年)やVWのゴルフ(2007年)などに搭載された1.4LTSIが有名だが、マーチというコンパクトカーに搭載したのは今考えても驚くばかりだ。
かつては「ラリーの名門」と言われた時代もあった日産。日産ファンのなかには「日産もGRヤリスに負けじと、マーチスーパーターボような、スーパーホットハッチを出してラリーに復活してほしい」と望んでいる人も少なくないはずだ。現状ではまったく発売が期待できそうもないのが残念だが……。
マーチスーパーターボの中古車情報/中古車相場:99万~200万円、平均価格:135.8万円、流通台数:3台
コメント
コメントの使い方マーチスーパーターボは、ほぼレース用で一般人には扱えるレベルのヤバイでは無いので同じ日産車をゴリ押しで入れるならパルサーGTI-Rの方がまだ宜しいかと思います。
まぁ、ライターさんの完全なミスですね。
乗った事の無いクルマの評価はお止めになった方が宜しいかと思います。