セドリック/グロリアの栄光と軌跡 かつての日産の大黒柱が絶版になって早16年

日本初のV6エンジン搭載

 これに続くY30型セドリック/グロリアではメカニズムを一新し、新しい領域に踏み込んでいる。

 パワーユニットは日本初のV型6気筒SOHCが主役だ。ターボや4速ATも設定し、1985年には時代の先端を行くジェットターボも投入した。

 また、フロントサスペンションもストラットに変更している。快適装備も世界初の雨滴感応式間欠ワイパーやカラオケ機能付きオーディオを奢った。

日本初のターボに続き、Y30セドリック/グロリアでは、日本初のV6エンジンが搭載された。このままで初物が続くクルマも珍しい
日本初のターボに続き、Y30セドリック/グロリアでは、日本初のV6エンジンが搭載された。このままで初物が続くクルマも珍しい

スポーツ性を押し出したグランツーリスモ登場

 1987年6月に登場したY31型セドリック/グロリアでは設計コンセプトまでも変えている。その代表が、パーソナルを求めるファンに的を絞った「グランツーリスモ」シリーズの設定だ。

 主役は新開発のV型6気筒DOHC4バルブターボで、最新の電子制御5速ATも用意した。サスペンションはリアをセミトレーリングアームとした4輪独立懸架で、先進的な電子制御エアサスペンションも設定する。

Y31セドリック/グロリアではクラウンとは違う独自路線として走りを追求したグランツーリスモが初設定された
Y31セドリック/グロリアではクラウンとは違う独自路線として走りを追求したグランツーリスモが初設定された

 ブレーキは4輪ディスク、ステアリングギア型式はプレステージセダンとしては異例のラック&ピニオン式だ。

 セドリック/グロリアはプレステージセダンの世界に、気持ちいいハンドリングを持ち込み、クラウンとの違いを明確にした。

 このY31は第2期のセドリック/グロリアの全盛期と言えるだろう。このころから、高級志向のセドリック、走りのグロリアというイメージが定着。

 若さを前面に押し出したY31のヒットにより、次のY32型セドリックとグロリアからは4ドアハードトップだけが定期的に進化を続けるようになる。

 ブロアム/クラシック系は角形ヘッドライトだが、グランツーリスモはヘッドライトも個性的な丸形4灯式だ。リアサスペンションもマルチリンクとなり、スーパーハイキャスも装備するから意のままの機敏な走りを手に入れた。

Y32セドリック/グロリアのグランツーリスモは丸4灯ヘッドランプにより精悍なフロントマスクに仕上げられ若者から支持された
Y32セドリック/グロリアのグランツーリスモは丸4灯ヘッドランプにより精悍なフロントマスクに仕上げられ若者から支持された

2004年に栄光の車名が消滅

 1999年に登場し、最後の作品となったY34型セドリック/グロリアは、面の美しさを際立たせたデザインを採用する。

 新設計プラットフォームを採用し、V型6気筒DOHCは直噴エンジンだ。最大のハイライトは、世界初のトロイダル無段変速機、エクストロイドCVTを用意していたことである。滑らかに力強い加速を披露し、燃費もいい。

 が、ゴーン体制になり、フーガが登場。2004年、セドリック/グロリアは惜しまれつつ長い歴史に幕を閉じた。

高級志向のセドリック、走りのグロリアというイメージで定着していたが、2004年に惜しまれながら絶版となってしまった
高級志向のセドリック、走りのグロリアというイメージで定着していたが、2004年に惜しまれながら絶版となってしまった

 独自路線を貫き、メーカーのプライドを背負って積極的に新しいメカニズムを採用して日本ならではの高級セダン像に挑んだのがセドリックとグロリアである。

 日本の風土に根ざしたプレステージセダンとして、クラウンと競い合いながら成長してきた。フーガが登場した今もセドリックとグロリアの栄光は色褪せていない。

【画像ギャラリー】40年以上にわたり日産のフラッグシップに君臨したセドリック/グロリアの歴代モデル

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