なぜレクサスLMと北米専売ミニバン シエナを日本で販売しないのか?

なぜLMを日本で売らないのか聞いてみた

新型LMのサイドビュー。ウィンドウ周りの意匠が異なるほか、フロントオーバーハングはアルファードより延長されている様子がわかる
新型LMのサイドビュー。ウィンドウ周りの意匠が異なるほか、フロントオーバーハングはアルファードより延長されている様子がわかる
たしかにアルファードのオラオラ顔はレクサスのスピンドルグリルにも負けない迫力をもっているが……
たしかにアルファードのオラオラ顔はレクサスのスピンドルグリルにも負けない迫力をもっているが……

 そこで、なぜレクサスLMをトヨタで売らないのか、レクサスの販売店に尋ねてみた。

 「レクサスLMを日本に導入しないのか、という問い合わせを時々受けますが、今のところ予定はないですね。少なくとも今後2年以内に、国内で発売することはないと思います。

 導入しない理由は、LMがアルファードにかなり似ているからです。基本部分が共通で、レクサスとしての独自性が乏しいため、国内市場には合わないと判断されたのです。レクサスLXもランドクルーザーと共通性が高いですが、エンジン排気量などを変えて差別化を図っています」とコメント。

 どうやらレクサスLMを日本国内で売る予定はないらしい。それなら並行輸入はどうか。海外で販売されるトヨタ車を扱う店舗に尋ねてみた。

 「レクサスLMを扱うとすれば、中国から輸入するが、価格があまりにも高い。輸入に要する手数料も加えると、日本に輸入した時の小売価格が物凄い金額になってしまう」という。

 ちなみにレクサスLM300hの4人乗りは、中国で販売される価格が146万6000元とされている。今の為替レート(1元:15.2円)で単純に換算すると2228万円だ。

 これに並行輸入に要する手数料も加えれば、仮に10%少々の上乗せに抑えたとしても約2500万円に達する。

 レクサスLMはボディからショックアブソーバーまでさまざまな機能に手を加え、乗り心地や静粛性を向上させた。それでも中国で購入したレクサスLMの輸入価格が2500万円では、あまりにも高額だ。

 先に述べたモデリスタが改造を施した4人乗りのアルファード&ヴェルファイアロイヤルラウンジは、ハイブリッド仕様の価格が1578万円5280円だった。

 現行型の一般グレードで最も高価なハイブリッドエグゼクティブラウンジSが775万2000円ということも考えると、モデリスタのアルファード&ヴェルファイア・ロイヤルラウンジでも2倍以上に達する。

 ただし並行輸入したりモデリスタで改造を施すのではなく、メーカーの生産ラインで製造すれば、大幅なコストダウンが可能になる。

 アルファード&ヴェルファイアのハイブリッドエグゼクティブラウンジSが前述の775万2000円、そこに200万円少々を加えた約1000万円くらいで日本版レクサスLMを販売すると、人気車になる余地は十分にあるだろう。

 レクサスLSの価格は、3.5LのベーシックなLS500が999万6000円、3.5LハイブリッドのLS500hが1142万2000円だ。

 最上級グレードのLS500hエグゼクティブは1670万9000円だから、1000万円で後席の広い超豪華なレクサスLMが手に入れば、VIPやセレブにも受けるだろう。

 また実用指向のミニバンでも、価格が1000万円ならレクサスブランドの面目を保てる。アルファード&ヴェルファイアがこれだけ売れているのだから、差別化を図りたいオーナーや法人がかなりいると思う。

レクサスLMとグランエースとは性格が違う

グランエースは全長5300mm、全幅1970mmもあり、既存のアルファードユーザーが乗り換えるクルマではない
グランエースは全長5300mm、全幅1970mmもあり、既存のアルファードユーザーが乗り換えるクルマではない

 トヨタはLサイズミニバンとして、グランエースも用意している。全長5300×全幅1970mmの豪華なミニバンという点ではレクサスLMに似ているが、機能の特徴はまったく違う。

 グランエースで主力のプレミアムは3列シートの6人乗りで、2列目と3列目の両方に、豪華なエグゼクティブパワーシートを装着したからだ。

 アルファードG・Fパッケージの2列目と同様のシートが、グランエースでは3列目にも採用される。1列目の造りも相応に優れているから、乗車定員の6名全員が快適に移動できる。

 その点でレクサスLMには2列シート仕様もあり、3列仕様を含めて、豪華で快適に移動できるのは2列目と1列目のみだ。3列目は床と座面の間隔が不足して、足を前方に投げ出す座り方になる。

 背もたれや座面の造りも、2列目に比べると簡素だ。車内は広いものの、最も快適なのは2列目で、これに次ぐのが1列目、3列目の居住性は大幅に下がる。

 同じことがアルファード&ヴェルファイアにも当てはまり、大人5名以上で長距離を移動する時は、時々席替えをしないと3列目の乗員が不愉快な思いをする。3列目の位置付けは補助席で、そこを改良したのがグランエースに位置付けられる。

 したがって、快適な移動を前提にすれば、3列シート車でも、レクサスLMとアルファード&ヴェルファイアは4人乗りが最適。3列目は畳んで荷物を積むのが快適性を優先させた使い方になる。その点でグランエースは6人乗りで、推奨される乗車人数が違う。

 つまり何が言いたいかというと、グランエースは高級感やオラオラ感はアルファードよりあっても、さすがに日本では大きすぎて普段使いには厳しい。

 車体の大きさが今のままで、もっとエグゼクティブ感やオラオラ感が欲しいと思うアルファード&ヴェルファイアオーナーにはレクサスLMがピッタリではないかと思うのだ。

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