喰い合ってでも売るべき
トヨタの国内のSUVラインアップを見てみると、ライズ、ヤリスクロス、C-HR、RAV4&ハリアー、ランドクルーザープラド、ランドクルーザー。そして、レクサスのUX、NX、RX、LX。もはや、軽SUVくらいしか隙間がない(逆に考えると、そこにはまだ隙がある、ということだが)。
2020年は、ライズの絶好調で始まり、2月に登場した新型ヤリスも好調、6月に登場したハリアーも注文が殺到し、同じく6月に登場したRAV4 PHVも一時受注停止に追い込まれるほどの売れ行き。
そしてさらに、秋には注目度が高いヤリスクロスが登場する。サイズの違いやパワートレインの違いはあるにせよ、トヨタのラインアップには、どう見てもオーバーラップする部分が多い。
新車販売の全体需要が伸びているわけではないため、もし、カローラクロスがデビューすれば、サイズが似通っているC-HRやヤリスクロス、そしてハリアー&RAV4が、多少なりとも販売台数を減らすことになる。
いわゆる、「喰い合い」が起きるのは想定しながらも、トヨタは、カローラクロスも日本に導入するつもりだろう、と筆者は考える。それは、真の目的が、他社車からの乗り換えを促進すること、トヨタの販売シェアを、じりじりと押し上げることにあるからだ。
2020年5月から、トヨタの4つの販売チャネルは、トヨタ車全車の併売を開始した。顧客側からすると、一店舗で、全てのトヨタ車が、比較できるようになったわけだ。
顧客は、C-HRを見に来たつもりでも、トヨタ店に行けば、ライズも、カローラクロスも、ハリアー&RAV4もあるわけだ。選択肢を目の前に並べられた顧客は「お腹いっぱい」状態となり、他社メーカーの販売店に足を運ぶことを、極端に減らすきっかけになりうる。
インドでは、新SUV「アーバンクルーザー」も
さらには、トヨタのインド部門は、新型コンパクトSUV「アーバンクルーザー」を11月にインド市場にて発売することを発表している。トヨタはこのアーバンクルーザーを擁し、インドでも激戦区となっている、コンパクトSUVセグメントに進出する。
トヨタは、既存モデルに対しても、定期的にマイナーチェンジを行い、商品力維持を続けている。他の自動車メーカーは、トヨタのこのスピード感についていけず、国内への消極的な商品投入も相まって、国内シェアが奪われていっている。
このままでは、この流れはさらに加速していき、「2台に1台がトヨタ車」となる日もそう遠くない。
とどまることを知らない怒涛のSUVラッシュで、トヨタは、国内はおろか世界市場でのシェアも伸ばす勢いだ。国内のライバルメーカーは一瞬たりとも息が抜けない状態だ。
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