いよいよ、9月16日のプロトタイプ公開が目前と迫ってきた、日産フェアレディZ。
クルマファンならば、誰もが一度は憧れた、ニッポンのスポーツカー「フェアレディZ」の、12年ぶりのモデルチェンジということに加え、ここ数年、ネガティブな情報ばかりを耳にする日産が出すプロトタイプモデル、ということもあり、日産ファン、クルマファンだけでなく、新モデルの発表を心待ちにしている方は多いことだろう。
そして当の日産も、Zの新モデルの活躍に、期待をしているにちがいない。では、新型Zが活躍するには何が必要なのだろうか。プロトタイプカーの発表を前に、ここで改めて「フェアレディZ」の魅力とは何か、を振り返りつつ、新モデルに期待することについて、考察していこうと思う。
文:吉川賢一
写真:NISSAN
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大排気量NAのトルクとハンドリングの切れが魅力
通算6代目 となる現行フェアレディZ(Z34型)の登場は2008年12月、すでに12年目に突入している。北米では「3万ドルで手に入るスポーツカー」として有名で、日本仕様にはない廉価なベースグレードが、北米ではいまも約3万ドル(30,090ドル=日本円329万円)で購入できる(日本仕様のベースグレードは397万円~)。
2550mmという短めのホイールベースによる俊敏さ、その俊敏性を受け止めるワイドトレッドとワイドタイヤによる安定感の高さは、いかにも「スポーツカ―らしい動き」を体感できる。高速走行中やコーナーであっても、まるで線路の上を進む新幹線のように「オンザレール」感を感じられ、路面に「ビタッ」と張り付く印象がある。
車重重量は、決して軽くはない。Z専用にチューニングされた3.7L V6エンジンは、最大出力247kW(336ps)、最大トルク365Nm(37.2kgfm)を発生し、強いトルクと、踏めば踏むだけパワーが出るフィーリングを目指したそう。
底知れないほどにパンチのある加速をするが、ストッピングパワーも優れているので、ドライバーが減速するタイミングを間違えなければ、気持ちの良いドライビングができる。
2012年にマイナーチェンジが行われ、それまでフロントグリルにあった牙のような造形がなくなり、フロントバンパーのデザインも変更、サスペンションのリファインも施された。そして、2014年に行われた「NISMO」のマイナーチェンジを最後に、今のデザインに落ち着いた。
フォアフェンダーのふくらみ、ショートホイールベースなどのプロポーションは、12年経ったいまも見ても、美しくカッコいい。2018年5月には、初代フェアレディZ(S30型)の登場から50年目の節目としてフェアレディZヘリテージエディションも登場している。
しかし、Z34には課題がないわけではない。メーター回りのデザインやインパネ、センターコンソールの操作スイッチ、ナビゲーション画面、内張りの表皮など、現代の水準のクルマと比べるとさすがに古さを感じる。10年以上も放っておいたので仕方がない。
また、Z34はロードノイズがかなり大きい。高速道路を100km/hで走っていると、リアタイや付近から聞こえる「コー」という盛大なロードノイズで、オーディオの音がかき消されてしまうくらいだ。
しかし筆者は、車両価格を上げてまで、その対策をする必要は、少なくとも、今のZにはないと考える。快適性能がピカピカに磨かれていなくても、多くのファンは、その登場を待ち望んでいるからだ。
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