ヤリスクロス ライズ C-HR 死闘の最前線!! 最大の敵は身内にあり

ライズとヤリスクロスを比較

直近の2020年8月の販売台数は9391台と販売絶好調のライズ
直近の2020年8月の販売台数は9391台と販売絶好調のライズ

 パワーユニットは1Lターボだから、走りもまずまずなのがウリとなっている。それにしても最も小さいSUVとはいえ、月販1万台規模で、SUV分野のダントツトップなのはもちろん、総合順位でもトップクラスだ。

 ところがヤリスクロスの登場で、この状況が大きく変わろうとしている。ヤリスクロスは、1.5LのガソリンNAと同ハイブリッドを搭載。室内はライズよりさらに広く、ハイブリッドは燃費がSUVでは最高レベルを確保している。

 売れ筋の「Z」同士で比較するとガソリンNAでは17万円、ハイブリッドでは47万円高くなるが、200万円近辺では同じどちらのモデルも選べるので、ヤリスクロスのほうが買い得ともいえる。

 ライズはダイハツからのOEM供給車なのに対して、ヤリスクロスはトヨタのオリジナルモデル。

 首都圏のトヨタディーラーA店営業担当者は、

 「お客さんの好みを重視し、それぞれの商品特徴を説明しています。しかし、ライズとヤリスクロスで迷っている場合にはヤリスクロスのほうを勧めがちになってしまいますね。

 発売されたばかりのモデルというのもありますし、万人受けするのはヤリスクロスですから。またライズはダイハツさんからのOEMモデルで、ヤリスクロスはトヨタオリジナルモデルですので、優先したい気持ちになります」。

 C-HRへの影響はどうか? モデルが古く人気が落ちているうえにライズの人気に押されるように、最近になってますます売れ行きに急ブレーキがかかっている。

 C-HRは、2020年8月4日に一部改良して商品ラインナップを強化したが、この程度では人気の回復はおぼつかないだろう。

 さらに首都圏トヨタディーラーB店営業担当者は、

 「ヤリスクロスの登場で最も影響を受けているのはC-HRです。デザインが気に入ってC-HRを買われる方以外で、C-HRかヤリスクロスかで迷っているお客様に対してはヤリスクロスをお勧めしています。

 価格帯が重なるうえに室内の広さ、荷物の積載性ではヤリスクロスのほうが使い勝手が良く、リセールバリューも高いからです」と実情を打ちあける。

 C-HRの現行モデルの登場は2016年12月だから2020年末で4年が経過する。普通に考えれば2021年か2022年には世代交代の時期を迎える。

 しかし、2021年秋頃には、2020年7月9日にタイで発表されたカローラクロスの日本での発売が予想され、C-HRと価格帯で直接競合し、フルモデルチェンジしないとさらに苦境に追いやられる可能性がある。

 また一方でC-HRのような背が低めでクーペ感覚のスタイリッシュなクロスオーバーSUVは今後のトレンドに合わないのではないか、といった営業マンからの意見も出てきている。

 カローラクロスは全高が高く、室内の広さ、レジャー用品などの積載性の良さを盛り込んでいるので販売すればヒットするのは間違いない。

 そうするとC-HRの存在価値はさらに低下し、場合によってはカローラクロスにとって代われる可能性もありそうだ。

カローラクロスのボディサイズは全長4460×全幅1825×全高1620mm、ホイールベースは2640mmと、RAV4とヤリスクロスの中間に位置する注目のコンパクトクロスオーバーSUV
カローラクロスのボディサイズは全長4460×全幅1825×全高1620mm、ホイールベースは2640mmと、RAV4とヤリスクロスの中間に位置する注目のコンパクトクロスオーバーSUV

証言1:首都圏トヨタディーラー営業担当者

 「C-HR、ヤリスクロス、ライズの購入を希望するユーザーに対しては、顧客の好みを優先して対応しています。

 納期はC-HRが1~2ヵ月、ヤリスクロスが3~4ヵ月、ライズが2ヵ月程度となっていますので、車検時期との絡みで決まるケースもあります。

 ヤリスクロスとC-HRのどちらにするのか悩むケースですと、室内の広さ、使い勝手、リセールバリューなどを勘案すると、ヤリスクロスに流れる場合が多いですね。

 今後、ヤリスクロスの登場でC-HRがますます売れなくなり、フルモデルチェンジするか、モデルの廃止に追い込まれる可能性も出てくるかもしれません」。

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