メルセデスAMGが日本人のお金持ちに愛される理由とは

より強まったメルセデスとのつながり

メルセデスベンツの各モデルのチューニングを手がけていたAMGが初めて完全独自開発したモデルが2009年に発表されたメルセデスベンツSLS AMG(写真はブラックシリーズ)
メルセデスベンツの各モデルのチューニングを手がけていたAMGが初めて完全独自開発したモデルが2009年に発表されたメルセデスベンツSLS AMG(写真はブラックシリーズ)
W210型のE50AMG(写真)やE55AMG、W202型C36AMG、C43AMGは当時のAMG人気の中心だった
W210型のE50AMG(写真)やE55AMG、W202型C36AMG、C43AMGは当時のAMG人気の中心だった

 その後AMGは、1990年にはメルセデスとの協力関係を結び、スポーツバージョンを手がけるようになった。

 転機となったのは2005年。メルセデスAMGをダイムラー(クライスラー)が完全子会社化したことで、標準モデルにAMG仕様を加えるなど、メーカー直結の“スペシャルモデルメーカー”としての地位を固めることになった。

 2009年にはAMGが初めて完全独自開発したSLS AMG(後継車はAMG GT)を発表。その後はAMG単独の生産量は増え続け、2017年には年間10万台のメルセデスAMGモデルを送り出すに至っている。

 日本でのAMGのビジネス拡大を見ると、2017年1月に世界初の専売店、「AMG東京世田谷」をオープン。加えてAMGモデルのサービスなどを実施する「AMGパフォーマンスセンターが日本全国の40ヵ所以上のメルセデスディーラーに設けている。

 同センターは、モータースポーツの世界観を表現する特別な展示スペースを常設しており、試乗車を常時用意するとともに、AMGモデルに関する専門知識をもった「AMGエキスパート(セールスおよびサービス)」が顧客に対応する。

2017年1月にオープンした世界初のAMG専売拠点、AMG東京世田谷
2017年1月にオープンした世界初のAMG専売拠点、AMG東京世田谷

AMGが日本人に好まれる理由とは?

 それではAMGが日本人(に限らないが)に好まれる理由を考えてみる。大まかにいって、1:スポーツ、2:ステイタス性、3:信頼という、ブランドとして重要な3つの要素が見事に融合していることにある。

 過去の日本のマーケットでは、前述のように派手なエアロパーツを纏ったメルセデスとして、「ワル」のイメージがあったことは否めなかった。

 ユーザーが望むステイタス性への憧れとして、メルセデスの“上級”モデルとして、標準仕様のオーナーより優越感に浸れるという下世話な話になってしまう。

 が、メルセデスというプレミアムメーカーが直接手がけた、あえて言えば“公認”のチューニングモデルとしての信頼感や中古車価格の高値安定感が、AMGの特別なイメージを生み出してきた。

 それでも、AMGのイメージを醸成してきたのはあくまでモータースポーツでの活躍から得られた、高い開発技術に違いない。

 AMGが自ら仕立てた高性能エンジンに関して、選ばれた一人の熟練作業者による“手組み”によって高精度の組み立てを実現する「ワンマン・ワンエンジン」のコンセプトに基づいて、エンジンには担当した“匠”の名が刻まれたシリアルナンバープレートを装着するといった手法はよく知られた話だ。

 もとより、外装の特別仕立てのカーボンファイバー強化樹脂(CFRP)製品や、内装品でもAMGのレーシングマシンのイメージを与えたシートやステアリングホイールなどをAMG独自のこだわりが見える演出によって、オーナーの所有する喜びを満たす要素には事欠かないこともAMGのステイタスの高さを生み出しているといえる。

“One man – one engine”という主義に基づき、熟練のマイスターが誇りをもって手組みするAMGのエンジン
“One man – one engine”という主義に基づき、熟練のマイスターが誇りをもって手組みするAMGのエンジン
写真は421ps/500Nmを発生する2L、直4ターボエンジン
写真は421ps/500Nmを発生する2L、直4ターボエンジン

次ページは : 日本市場でのメルセデスAMGのラインナップと注目モデル

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

不死鳥のごとく蘇る! トヨタS-FR開発計画は再開していた! ドリキンこそレジェンドの土屋圭市さんがトヨタのネオクラシックを一気試乗! GWをより楽しく過ごす情報も満載なベストカー5月26日号、堂々発売中!