AMGの立ち位置とは?
ドイツのいわゆるプレミアムブランドが、特別仕立てのスペシャルモデルを設定しているのは周知の通り。
BMWの傘下企業である「BMW M」やアウディの「アウディスポーツ」が、メーカー直系のハイパフォーマンスモデルを製作。
「メルセデスAMG」のラインナップに対して、BMWとアウディは自社ラインナップとしてそれぞれ「Mシリーズ」と「RSシリーズ」を用意する。
標準仕様にはAMGが開発した内外装品を与えた、いわゆる“パッケージオプション”として、専用の内外装パーツやタイヤ&ホイールの変更などによってAMGの雰囲気が得られる「AMGライン」や「AMGスタイリングパッケージ」などを用意している。
これらに対抗すべく、BMWは標準仕様のグレードとして「Mスポーツ」、アウディは「Sライン」を設定している。
一方、AMGモデルにはスポーティな仕立てのシートやステアリングホイール、エグゾーストシステムなどのパーツ類を加え、C63では強化型ブレーキシステムが与えられた「AMGパフォーマンスパッケージ」が設定されている。
メーカーとのつながりが強い、古くからのチューニングブランドといえるのが、メルセデスではAMG、BMWのアルピナになる。
とはいえ、標準のラインナップに社名を冠した仕様が設定されていることなど、ビジネス全体としてのメーカーとのつながり方が決定的に異なることがわかる。
モータースポーツでの活躍とメルセデスとの絆
ここからはAMGの半世紀を超える歴史や成り立ちを人気の理由や主要車種の解説とともに振り返ってみよう。
AMGの発展の歴史を辿ると明らかなのは、メルセデスの直轄子会社化もさることながら、モータースポーツでの実績が生み出した、AMGの製品が独自のスポーツ性に対するコンセプトで貫かれ、スポーツカーとしての信頼性をマーケットで獲得していることだ。
例えば、メルセデスが伝統的に維持し続けている開発コンセプトに「エンジンパワーよりもシャシー性能が優る」という、安全性に配慮した“社是”といえるものがある。
これに基づいて、ハイパワーを御するハイパフォーマンスモデルの開発をAMGに託すという、両社の信頼関係が成立していることも大きい。
AMGは1967年にドイツ(当時は西ドイツ)を手がけるチューニングメーカー(ファクトリーと評するすべきか)としてドイツで誕生した。
1980年代にはチューニングモデルとともに欧州のツーリングカーレースに挑戦、その後に続くDTMでの活躍はいうまでもない。
一方、1970~80年代のマーケットでは、1980年代はSクラス(W126)のAMG仕様やEクラス(W124)などが街を闊歩していたことが記憶に残る。
少し残念だったのは、ほかのドイツ系モデルを扱っていた「チューナー」が仕立てた当時の日本車ではあり得なかったハイパワーを謳い、派手なエアロパーツを纏ったモデルのイメージが重なって、いわゆる「ワル」のイメージが目立った時期もあったことだ。
それでもなぜAMGがハイパフォーマンスカーのマーケットで評価され続けてきたのか。その理由として挙げられるのは、「メーカー直結」のイメージがほかのドイツ系のライバルに対して上回っているからではないだろうか。
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