メルセデスAMGが日本人のお金持ちに愛される理由とは


モータースポーツでの活躍とメルセデスとの絆

1971年のスパ・フランコルシャンでデビューした300SEL6.8は総合2位、クラス優勝を果たした。300SEL6.3排気量を6.8Lまで拡大し、428hp/607Nmまで向上

 ここからはAMGの半世紀を超える歴史や成り立ちを人気の理由や主要車種の解説とともに振り返ってみよう。

 AMGの発展の歴史を辿ると明らかなのは、メルセデスの直轄子会社化もさることながら、モータースポーツでの実績が生み出した、AMGの製品が独自のスポーツ性に対するコンセプトで貫かれ、スポーツカーとしての信頼性をマーケットで獲得していることだ。

 例えば、メルセデスが伝統的に維持し続けている開発コンセプトに「エンジンパワーよりもシャシー性能が優る」という、安全性に配慮した“社是”といえるものがある。

 これに基づいて、ハイパワーを御するハイパフォーマンスモデルの開発をAMGに託すという、両社の信頼関係が成立していることも大きい。

 AMGは1967年にドイツ(当時は西ドイツ)を手がけるチューニングメーカー(ファクトリーと評するすべきか)としてドイツで誕生した。

 1980年代にはチューニングモデルとともに欧州のツーリングカーレースに挑戦、その後に続くDTMでの活躍はいうまでもない。

 一方、1970~80年代のマーケットでは、1980年代はSクラス(W126)のAMG仕様やEクラス(W124)などが街を闊歩していたことが記憶に残る。

 少し残念だったのは、ほかのドイツ系モデルを扱っていた「チューナー」が仕立てた当時の日本車ではあり得なかったハイパワーを謳い、派手なエアロパーツを纏ったモデルのイメージが重なって、いわゆる「ワル」のイメージが目立った時期もあったことだ。

 それでもなぜAMGがハイパフォーマンスカーのマーケットで評価され続けてきたのか。その理由として挙げられるのは、「メーカー直結」のイメージがほかのドイツ系のライバルに対して上回っているからではないだろうか。

1979年に登場したAMG450SEL6.9 (W116)
1982年に登場したAMG500SEL(W126)
1983年に登場したAMG500SEC5.0 (C126)
1985年に誕生したAMG300E 6.0 4V(HAMMER)

より強まったメルセデスとのつながり

メルセデスベンツの各モデルのチューニングを手がけていたAMGが初めて完全独自開発したモデルが2009年に発表されたメルセデスベンツSLS AMG(写真はブラックシリーズ)
W210型のE50AMG(写真)やE55AMG、W202型C36AMG、C43AMGは当時のAMG人気の中心だった

 その後AMGは、1990年にはメルセデスとの協力関係を結び、スポーツバージョンを手がけるようになった。

 転機となったのは2005年。メルセデスAMGをダイムラー(クライスラー)が完全子会社化したことで、標準モデルにAMG仕様を加えるなど、メーカー直結の“スペシャルモデルメーカー”としての地位を固めることになった。

 2009年にはAMGが初めて完全独自開発したSLS AMG(後継車はAMG GT)を発表。その後はAMG単独の生産量は増え続け、2017年には年間10万台のメルセデスAMGモデルを送り出すに至っている。

 日本でのAMGのビジネス拡大を見ると、2017年1月に世界初の専売店、「AMG東京世田谷」をオープン。加えてAMGモデルのサービスなどを実施する「AMGパフォーマンスセンターが日本全国の40ヵ所以上のメルセデスディーラーに設けている。

 同センターは、モータースポーツの世界観を表現する特別な展示スペースを常設しており、試乗車を常時用意するとともに、AMGモデルに関する専門知識をもった「AMGエキスパート(セールスおよびサービス)」が顧客に対応する。

2017年1月にオープンした世界初のAMG専売拠点、AMG東京世田谷

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