【トヨタbB、ホンダストリーム…】メジャーになれなかったクルマたち 6選

■トヨタbB 2000年2月〜2016年7月

トヨタbB
トヨタbB(2代目)

 bBは初代モデルを2000年に発売。2005年に2代目にフルモデルチェンジされて終了した。背の高いコンパクトカーだが、若年層をターゲットに開発され、外観の存在感も強かった。

 初代bBはヴィッツのプラットフォームを使って開発され、居住性は前後席ともに快適だ。走行安定性のバランスも良く、優れた商品だった。

 ただしユーザーの平均年齢は予想に反して高かった。後席が広いためにファミリーカーとして使いやすく、視界や取りまわし性が優れているから、高齢のドライバーも運転しやすい。ユーザーに優しい商品だから、幅広い顧客層に人気を得て、平均年齢も高めた。

 この後、トヨタは北米で若年層向けのサイオンブランドを立ち上げ、bBは初代サイオンxBとしても売られるようになった。

 初代bBは多くのユーザーが満足しているのだから問題はなかったが、2005年に発売された2代目は、若年層へのアピールを強めるべくデザインを個性的に仕上げた。

 2代目サイオンxBがカローラルミオンの姉妹車になり、2代目bBが純粋な国内向けになったことも思い切ったデザインを可能にした理由だ。

 ところが2代目bBは初代モデル以上に市場の評価を下げた。理由は「オジサンの考えた若者グルマ」であったからだ。フロントマスクは睨みを利かせた表情で、サイドウインドーの下端を持ち上げて外観の存在感を強めた。

 車内に入ると前席には「マッタリモード機能付フロントシート」が装着され、前席の座面を80mm下げることで、個室感を演出できた。

 若い男女が乗車して座面を下げ、さらにリクライニングさせ、オーディオを楽しむような使い方を想定していた。これらがすべて裏目に出た。

 2005年頃になると、若年層は今と同様にプレーンなクルマを好んだからだ。「こういう風に使うとデートが楽しくなるよ」という演出的な小道具は、バブル経済の頃はウケたが、この時代にはオジサンの浅知恵と受け取られた。

 その結果、発売時点で全車に標準装着された「マッタリモード機能付フロントシート」は、改良を受ける度に装着グレードを減らし、逆に姉妹車のダイハツクーとスバルデックスが備えていた後席スライド機能を加えるようになる。

 この機能を付けた仕様で後席のスライド位置を後端に寄せると、固定式の後席に比べて膝先空間が25mm拡大され、快適性が意外に向上した。

 これらの改良でbBは便利になったが、普通のコンパクトカーに近づいて個性が薄れた。

 しかも1.3Lエンジンと4速ATは動力性能と燃費に不満があり、カーブを曲がれば後輪の接地性が頼りない。乗り心地は前後方向の揺れが大きく、走りの質も低かった。

 そのために2代目bBの売れ行きは、当時のトヨタラクティスやポルテを下まわる。中途半端なクルマ造りによって身内のライバル車にも負けた。

 bBの晩年は見る者の感涙を誘い、「もっとちゃんと造ってやれよ!」とトヨタとダイハツに憤りを感じたものだ。

■日産ラフェスタ 2004年12月〜2017年12月

日産ラフェスタ
日産ラフェスタ

 2Lエンジンを搭載する5ナンバーサイズのミニバンで、後席側のドアはセレナと同様にスライド式だが、全高は1600mmと低い。ウィッシュやプレマシーと同じく、ワゴン風のミドルミニバンだった。

 発売されたのは2004年。当時の日産は落ち込んだ売れ行きを回復すべく、今と違って国内市場も大切にテコ入れしていた。

 そこでミニバンも品ぞろえが多く、Lサイズは背の高いエルグランドとワゴン風のプレサージュ、ミドルサイズはセレナとラフェスタ、コンパクトはキューブキュービックと豊富に用意していた。

 そしてラフェスタの開発では、興味深いリサーチを行っている。造形教室に通う子供たちに、「クルマ」をテーマに自由に紙の模型を造ってもらった。するとどれもマドが広くて採光が良い。

 ミニバンとあってこのような子供の視点も踏まえながら、ウインドーの下端が低い視界の優れたラフェスタが開発された。ボディ形状も直線基調だから、四隅の位置が分かりやすく運転もしやすい。全グレードに大型ガラスルーフのパノラミックルーフも標準装着した。

 発売した時の価格は、実用装備を充実させた20Sが185万8500円だから、2Lエンジンやパノラミックルーフを備えながら割安だった。

 しかし売れ行きは伸び悩む。直線基調のボディは、ボリューム感と視覚的なカッコ良さが乏しい。居住性は1/2列目は快適だが、3列目はシートのサイズが小さく、座ると膝が持ち上がって窮屈な姿勢になった。

 運転すると2Lエンジンの搭載で動力性能は十分と感じられたが、後輪の接地性が足りず安定性が不満で、乗り心地も少し粗かった。

 要は商品力のバランスが悪かったが、優れた視界と運転のしやすさは今でも注目される。特に最近のクルマは、日本車、輸入車を問わず後方の視界が大幅に悪化した。

 周囲の危険を早期に発見することは安全運転の基本だから、最近は危険なクルマが増えていることになる。その意味でラフェスタは、造形的な安全性が高かった。

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