ジンクス:ステーションワゴンは売れない
昭和の時代まで日本ではボルボなどの輸入車はともかく、日本車のステーションワゴンの販売は低調だった。
その理由はクラウンやセドリック&グロリアのステーションワゴンでも商用ライトバンがあるなど、多くのステーションワゴンにセットのように商用ライトバンも設定されていたことが、本来セダンより上位となるステーションワゴンのイメージを低下させていたことが大きい。
■ジンクスを破ったクルマ→初代レガシィツーリングワゴン
そのジンクスを破ったのが1989年2月登場のレガシィツーリングワゴンの初代モデルである。
初代レガシィツーリングワゴンがジンクスを破った理由としてはまず、商用ライトバンがなく、乗用車のイメージが強かったのに加え2段になったルーフなどデザインがカッコよかった。
そして、デザインに加え、スバルはステーションワゴンに長い経験を持つこともあり使い勝手の良さや高性能な4WD、ハイパワーなGT系の設定によりスポーツワゴンというジャンルを切り開くなど、クルマ全体が新鮮だった、といったことが浮かぶ。
レガシィツーリングワゴンの登場後、トヨタカルディナや三菱レグナムといったレガシィツーリングワゴンをターゲットにしたミドルステーションも登場したが、結局レガシィツーリングワゴンの牙城を崩すには至らなかった。
レガシィツーリングワゴン人気は初代モデルから20年近くに渡って続き、現在はそのポジションをレヴォーグが引き継いでいる。
ジンクス:全高の高い乗用車は売れない
平成初期まで日本車の乗用車(セダン、ハッチバック)は日本人がキャビンスペースをそれほど重視しなかったこともあり、デザイン性を優先する傾向が強かったためか、乗用車でも全高が現在の基準で見れば低い1400mm以上あるモデルは非常に少なかった。
そのため4ドアなのに全高が1310mmしかないカリーナEDが大ヒットしたり、クラウンやセドリック&グロリアのようにセダンとハードトップがある4ドア車でも全高が低いハードトップが圧倒的に売れていたくらいだった。
そういった「不真面目なものが売れていた」とも見える流れを断ち切ろうとした1台が、昭和の時代まで全高の低いクルマが大好きだったホンダの4代目アコード(1989年登場、全高1390mm)だった。
しかし、4代目アコードは内容こそ文句なかったものの日本人のイメージするホンダ車には雰囲気が真面目すぎ、地味だったせいなのか、日本ではあまり売れなかった。
そのほか、居住性を高めるべく、やたら全高を高くした不格好なビスタセダン/ビスタアルデオというセダンとワゴンがあったがさっぱり売れなかった。
全高を高くして、居住性を高くすれば売れるという考えは見事打ち砕かれ、スタイルが重要だということを改めて思い知らされたクルマだった。
またレガシィツーリングワゴンよりも190mmも全高が高い1660mmのエクシーガも、全高が高いことが災いしたのか、生産終了に追い込まれた。
■そのジンクスを破ったクルマ→2代目マーチ
このジンクスを打破したのが1992年1月登場の2代目マーチではないだろうか。2代目マーチはすべてがバブル経済崩壊直後の雰囲気に相応しい堅実なクルマだったこともあり、全高も1430mmと当時の日本車の乗用車としては高く、そのおかげでアップライトな着座姿勢による実質的に広いキャビンスペースや乗降性のよさなどを得た。
また2代目マーチ以降、極端に全高に低い乗用車はほとんどなくなるなど、日本車の乗用車は全高を高めることに対する躊躇はなくなり、今では全高が高いクルマばかりになり、運転していて先が見通しにくいことがよくあるくらいだ。
その逆も然り。背の高いミニバンじゃないと売れないというジンクスもある。現在、軽ハイトワゴン系、ミニバンは全高が高くないと売れない時代になってしまった。
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