■技術的エポックメイクな金字塔車
バブル崩壊のあと低迷していた日本の自動車業界に、新たな希望の火を灯したのが初代プリウス誕生だった。
いまやおなじみのハイブリッドも、1997年当時は誰も体験したことがないまったく新しい技術。完成度が低かったから、飛ばしすぎると出力制限を警告する“亀マーク”が出たのも思い返すと懐かしい。
初代プリウスが走り始めた当時、ライバルは「こんな未完成で高コストのクルマが長続きするはずはない」と冷ややかに見ていたが、それはあながち間違いではなかった。
しかし、完成度についてはわずか2年半後にフルチェンジに等しい大幅改良を実施。コストもお得意の“カイゼン”を粘り強く継続し、2003年の2代目で早くも大ヒットを実現したのがトヨタのすごいところ。
その後20年で、トヨタハイブリッド車が累計1000万台も作られるなんて、おそらく開発責任者の内山田さんすら想像していなかったはず。まさに、自動車史に残る金字塔といっていい。
ユーノス800については、ミラーサイクルと過給ダウンサイジングによって燃費を改善するチャレンジ。
8代目ギャランについては初の電子制御ガソリン直噴“GDI”の実用化を評価。渋い技術だが、どちらも重要な技術の金字塔だと思う。
(選定:鈴木直也)
■デザインの金字塔車
1990年代はバブル崩壊から始まり、スポーツカーブームの沈静化とともにRV時代が到来。
そのRVブームの元ネタ兼元祖であり、軽自動車に革命をもたらして現在の隆盛に導きつつ、国産自動車デザイン史の大金字塔として輝いたのが、初代ワゴンRではないだろうか!
これほどシンプルで機能的で必要最小限で、どこにもてらいのない自動車デザインは、世界中探してもほかに存在しない。本当にすさまじい。
初代ワゴンRなら、フェラーリやランボルギーニの傑作たちとも、デザイン面で渡り合える。それくらいの大傑作だった。まさに無欲の勝利!
(選定:清水草一)
■実用度の金字塔車
今は新車として売られるクルマの37%が軽自動車だ。そして軽乗用車の80%以上を全高が1600mmを超える背の高い車種が占める。この先駆けが1993年に登場した初代ワゴンRであった。
ドアの配置は右側が1枚、左側は2枚と変則的だが、ボディの基本スタイルは現行型と同じだ。車内は広く大人4名が快適に乗車できた。
後席の背もたれを前側に倒すと座面も下がり、床の低い大容量の荷室になる。
後席の格納は左右独立式だから、3名で乗車して荷物を積む時も便利だ。助手席の下には大型の収納ボックスも装着され、現行型と同様の実用性を備えていた。
(選定:渡辺陽一郎)
■走りの金字塔車
1996年に行われた2代目レガシィのマイナーチェンジで登場した『GT-B』を見たライバルメーカーは、まったくお手上げ状態になってしまう。
当時、2.5L級エンジンでも難しかった280psを2Lで実現。さらに少量しか生産していなかったビルシュタインの分解式ダンパーを採用し、走りの性能を大きく引き上げることに成功した。
当時のGT-Bの評価の高さときたら、圧倒的でしたね。トヨタや日産も同じようなモデルを出そうとしたが、すべて相手にもならなかった。日本のユーザーって慧眼です。相当特殊な存在だったものの、大ヒットしました。
(選定:国沢光宏)
コメント
コメントの使い方