■ホンダ 6代目シビック [1995年登場]
5代目までのシビックは、軽量ボディに気持ちよく回るエンジンを組み合わせ、ファミリー向けのグレードでも軽やかな走りを披露した。
1995年秋に登場した6代目のミラクルシビックは、イギリスのローバーと共同開発したし、1997年夏には硬派のタイプRを追加するから、走りの実力は2ランクくらいレベルが上がっている。
5代目のスポーツシビックと比べると、ボディはシャキッとしているし、足の動きもいい。3ステージVTECに進化した1.3Lと1.5Lの直列4気筒SOHCエンジンは全域で元気だ。高回転まで回すと、エンジン音も心地よいビートを奏でる。
この軽快感にパンチが加わったのがタイプRだ。1.6LのDOHC・VTECエンジンを極限までチューニングし、8500回転まで気持ちよく回るし、6500回転から上の伸びとパワーフィールは刺激的だった。
それまでのシビックはエンジンにシャシーが追いついていなかったが、この6代目は剛性が高く、ハードに締め上げられたサスペンションは高いトラクション性能を発揮した。また、ヘリカルLSDを採用していることもあり、ドライバーの意思に忠実に向きを変える。
そのままサーキットで走りを楽しめるほど、実力は高かった。タイプRだけでなく、ほかのグレードも意のままの走りを安心して楽しめる。
■トヨタ 3代目プリウス [2009年登場]
1997年12月に世界初のハイブリッド車として鮮烈なデビューを飾ったプリウス。初代モデルがモデルチェンジし、2代目になった時にハイブリッドシステムは進化版のTHS-IIになっている。
2009年5月にプリウスは第3世代にバトンタッチした。5ドアハッチバックのデザインを含め、キープコンセプトだったから、それほど期待していなかったのである。大きな変更は、エンジンが1.5Lから1.8Lに排気量が300cc大きくなったくらいだった。
だが、乗ってみてビックリだ。洗練度がまるっきり違っていたのである。
モーターだけで走るEV走行の領域はそれほど広がっていない。だが、エンジンとモーターの分担が上手になり、リダクションギアも採用して効率をアップしているから、フツーに走ると驚くほど燃費がよくなっていた。
それだけじゃない。飛ばしても燃費の悪化が小さいのだ。試しに極悪非道な荒っぽい運転をしてみたが、10km/Lを割るのは大変だった。街中ではフレキシブルだし、静粛性などの快適性能も向上している。
また、ブラシレスモーターを採用したパワーステアリングは、操舵フィールが見違えるほどよくなっていた。17インチタイヤを履くツーリングセレクションは冴えたフットワークを見せ、峠道を走っても楽しい。ハイブリッド車は退屈だ、と思っていたから意外な発見だった。
■三菱 6代目ギャラン [1987年登場]
4WDのパイオニアを自負する三菱を代表する傑作といえば、WRCにおいて多くの神話を生み出したランサーエボリューションだろう。だが、それ以前に、衝撃を受けたスポーツモデルがあった。
それが1987年10月に発表された6代目のギャランだ。とりわけ、刺激的な走りを見せ、クルマ好きを唸らせたのがE39の型式を与えられたVR-4である。ウリは「アクティブ4」と名付けた先進装備の数々だ。
2Lの直列4気筒DOHC4バルブインタークーラーターボを高度にチューニングし、4輪ABS、フルタイム4WD、4WS、4輪独立懸架のサスペンションを採用し、異次元の走りを見せた。
驚かされたのはVR-4だけじゃない。FF車も気持ちいい走りを見せてくれた。先代のギャランは、V型6気筒エンジンを搭載するなど、パワーユニットは上質だ。だが、シャシー性能は今一歩に止まっていたのである。
7代目ギャランは剛性が高く、スッキリとしたハンドリングだ。また、時代の先端を行くアクティブサスペンションを日本で初めて量産車に導入した。ワインディングロードでロールすることなく、速いスピードでコーナーを駆け抜けていく姿に感嘆したものである。
ランエボへと続くハイテクセダンの始まりは、このギャランにあった。
コメント
コメントの使い方