1950年代から1970年代、高度経済成長期を迎えた日本では、クルマが急速に普及し、それまでの実用重視のモデルから、嗜好性のあるモデルが人気となりました。
1960年代後半には、トヨタ2000GTや、日産フェアレディZ(S30型)といった、スポーツカーの名車が登場し、1970年代に入るとその流れはさらに加速、近年はその数を減らしているものの、これまでに多くの国産スポーツカーが世に送り出されてきました。
しかし、なかにはさまざまな事情から販売に至らず、残念ながらお蔵入りとなってしまったモデルもあります。今回は、そんなお蔵入りになってしまった国産スポーツカーをご紹介します。
文:吉川賢一
写真:MAZDA、NISSAN、TOYOTA、HONDA、MITSUBISHI、ベストカー編集部
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マツダRX500
マツダが世界で初めて量産化したロータリーエンジン車である「コスモスポーツ(1967年登場)」。このコスモスポーツの後継モデルとして、1970年の東京モーターショーで発表されたのが「RX500」という、ロータリーエンジンを搭載したコンセプトカーでした。
コンセプトカーとはいえ、デザインだけのモックアップではなく、実際に走行できる仕上がりとなっていたRX500は、登場が期待された国産スーパースポーツの先駆けでした。
リアにロータリーエンジンを搭載し、重量バランスは50:50。850kgという車体に、最高出力250psの高出力エンジンを搭載するという、当時のレーシングカーのようなスペックでした。
ウェッジシェイプ(車両後方が高く前方が低いスタイリング)のボディデザインをしており、リア周りがワゴンの形状になっています。また、スーパースポーツ必須の条件ともいえる、跳ね上げ式ドアも採用されていました。軽量化のため、ボディにはFRP(繊維強化プラスチック)が採用されていました。
量産、そして販売まであと一歩だった…と考えるところなのですが、残念ながらコンセプトモデルにとどまってしまい、未だに「幻の国産スーパーカー」として、語り継がれる存在となっています。
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