北米では、その生活スタイルで活躍
一方、北米では同じピックアップでも「フルサイズ」が人気だ。北米の新車販売台数の1位~3位は「フォード・Fシリーズ」、「ダッジ・ラム」、「シボレー・シルバラード」と、フルサイズピックアップが独占、他カテゴリーを圧倒する人気を得ている(2020年のデータ)。
北米の場合、国土が広大で道路の幅が広いため、大きなサイズでも運転がしやすく、また、ガソリンが安いため、燃費にあまり気を使う必要がない。
また、家や家具などをDIYで修理したり塗装したりするという文化や、ガレージセール(ヤードセール)の習慣、ボート・トレーラーハウスを引っ張って出かけるレジャーなど、北米の生活スタイルにおいては、フルサイズのピックアップが活躍するシーンも多い。
さらに、ピックアップトラックはスポーツカーと違って貨物車や商用車と同じ扱いになるため、税金や保険が安く、若い人が買いやすいということも人気の理由のようだ。
もちろん、タフさを強調したデザインや存在感、リッチでラグジュアリーな雰囲気もピックアップ人気の理由。北米の人たちにとって、フルサイズピックアップは豊かな暮らしを象徴するステータスであり、「カッコいい」から買うのである。
日本では絶対にすれ違いたくないサイズ感
冒頭でも触れたように、現行型のタンドラは2007年に登場した2代目。これまで毎年改良モデルが登場してきたが、2014年のビッグマイナーチェンジで、グリルは大型化、フェンダーも拡大され、迫力を増した。
ボディタイプは「ダブルキャブ」と、後席の居住スペースが広い「クルーマックス」があり、さらに「ベッド」と呼ばれる荷台の長さは「標準」と「ロング」がある(グレードによって設定有無あり)。
ボディサイズは、ダブルキャブの標準ベッドで全長5814mm×全幅2029mm×全高1925mm、ホイールベースは3700mm。クルーマックスも全長は変わらないが、キャビンが広くなる分荷台が短くなる。
ダブルキャブのロングベッドを選ぶと全長は6200mmと、ランドクルーザー200の全長より1.2m以上も長くなる。日本のハイラックスが、5340mm×1855mm×1800mm、ホイールベースは3085mmなので、ハイラックスがまるで子供のように見えるサイズ感だ。狭い道では絶対にすれ違いたくない。
新型はフェイスの威圧感がハンパない
最近のフルサイズピックアップにおけるデザインのトレンドといえば、なんといっても威圧的で存在感のあるフロントマスクだ。現行型タンドラもライバルに負けないぐらい大きなグリルをもっているが、ヘッドライトとのバランスを見るとやはりマイナーチェンジで装着された「後付け感」は否めない。
しかし新型では、大型グリルと立体感のあるバンパー、ボリューム感たっぷりのボンネットフード、フェンダーアーチにかけて立体的に組み込まれたヘッドランプなど、タフでアグレッシブなデザインへ見事に生まれ変わった。
メカニズムに関しては、現行型は5.7LのV8ガソリンエンジン「iForce」が搭載され、これに6速ATが組み合わせられるが、新型のティザー画像を見ると「iForce MAX」のバッジが確認できる。
画像の説明として書かれている「The engine badge says it all: power to the MAX」からすると6気筒エンジンの可能性が高く、新型ランドクルーザーと同等の3.5L V6ツインターボの搭載を予感させる。
つい先日、ライバルの「フォード F-150」がフルモデルチェンジをうけ、3.5Lハイブリッドが設定された。トヨタとしても、カーボンニュートラルに向け、このタンドラにも、どこかしらのタイミングで、燃費と環境性能、パワーを高い次元でバランスさせた、次世代のパワートレインを用意してくるに違いない。
ティザー画像からはさらに、オフロードドライブモードを選択するダイヤルやクロールコントロールの表示、ワイヤレス充電、TRD Pro(オフロード性能を高めたグレード)専用シートなど、最新モデルにふさわしい機能の搭載が確認できる。
初代タンドラは、ライバルのビッグスリーに配慮してやや控えめなサイズで作られていたというが、2代目にモデルチェンジするころにはそんな遠慮もなくなり、さらに今回の新型では、かつての配慮が幻でもあったかのように攻めたデザインに生まれ変わっている。
はたして、日本メーカーのタンドラが、圧倒的な人気を誇ってきたビッグスリーの牙城を崩すことができるか。新型タンドラのワールドプレミアは2021年秋の予定だ。
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