SEMAショーって何? 米国での日本車人気に比例する展示はどう変化した?

■どんな日本車の出展が多い?

相変わらず人気の高いスカイラインR34GT-R
相変わらず人気の高いスカイラインR34GT-R
会場の屋外に展示されていたR35GT-R
会場の屋外に展示されていたR35GT-R

 あれから四半世紀以上が経過した近年のSEMAは北米における日本車人気とあいまって、日本車ベースの凄いカスタムカーが多数展示されるようになった。

 SEMAは「対面」でのコミュニケーションや出会いを大事にするイベントゆえ、いかに多くの人を呼べるブースであるかが重要だ。例えばクラッチやブレーキディスク、ショックアブソーバーなどのパーツだけを並べても人はなかなか集まってこない。

 そこで、各社はみんなどこも、魅力あるデモカーを製作したり借りて来たりして展示を行う。デモカーとしてアメリカ人気が高い日本車を展示すれば、多くの人々がブースを訪れるというわけだ。

 近年特に増えている日本車の例を挙げてみよう

・ダットサン240Z(S30系フェアレディZ)から370ZまでのフェアレディZ。アメリカでは古くから熱狂的な「Z」ファンが多数存在する
・シビック、インテグラ、CR-Xなどのホンダ車。1990年代からの西海岸スポコンブームの中心的存在
・A70/80系スープラ。アメリカ仕様の左ハンドルに加えて25年ルール解禁で入って来た右ハンドルモデルなど
・スカイラインGT-R系。2014年以降に25年ルール解禁となったR32GT-Rはもちろん、今年は2020年~に解禁となったR33GT-Rのカスタムカーの姿が目立つ
・日産GT-R。アメリカではじめて新車販売されたGT-Rゆえ、日系メーカーはもちろん、米国のビルダーによる出展が急増
・GRスープラ。2019年はスープラ祭で50台以上のGRスープラが出展。今年も30台以上のカスタムスープラが登場
・ランドクルーザーFJ40系。40系はアメリカでも専門店が多数存在するほどの人気。値段も高騰していてアメリカで1000万円以上も珍しくない

■日本の自動車メーカー、パーツメーカー、石油元売り会社も!

新型シビックSiも注目を集めていた
新型シビックSiも注目を集めていた
タコマをベースにキャンピングカーとしたタコジラ
タコマをベースにキャンピングカーとしたタコジラ

 日本車の出展が増えているということで日本企業の出展もこの10年間でかなり増えてきている。トヨタ、ホンダ、レクサス、日産などの完成車メーカーをはじめ、クスコ、テイン、HKS、GReddy、OS技研、EXEDY、NGK、ヨコハマタイヤ、トーヨータイヤ、エネオス、出光など、多くの日本企業が出展するようになった。ちなみにエネオスや出光はアメリカ市場向けの高性能なオイル類を販売している。

 SEMA2021においては常連のトヨタ、ホンダ、レクサスに加えて今年は日産も加わった。
・トヨタ→TRDデザートチェイスタンドラ、GRスープラスポーツトップ、タコジラ(タコマ+ゴジラ)タコマキャンパーなど
・ホンダ→新型シビックSi、アコードワゴン(Type R Crate Engine)、パスポート(トレイルスポーツプロジェクト)、シビックSiレースカーなど
・レクサス→新型LX600、IS500Fスポーツ、RC F(GTカップカー)など
・日産→新型Z、オーバーランドプロジェクト・パスファインダー、同フロンティア、Sung Kang’s “Doc Z”(ワイスピ俳優サン・カン所有の1971 Datsun 240Z)、”Altimaniac,(アルティマをベースにした2000馬力の4座ドリフトマシン)など

 完成車メーカーのブースでもっとも盛り上がっていたのは日産ブースだろう。

 開幕初日に2時間のレセプションが行われすべての来場者に対してビールやワインなどがふるまわれた。このような一般向けのレセプションは自動車メーカーのブースとしてはとても珍しい。日産の気合を感じた。

 アメリカでも超話題の新型Z(2023年モデル)とともに、日本から開発トップの新型Zチーフプロダクトスペシャリスト田村宏志氏が来場。SEMAに出展した日本企業において日本から開発トップが訪れて来場者からの質問に答えたり、写真撮影に応じたりしていたのは恐らく日産ブースだけだと思う。

 さらに超豪華ゲスト=2名のワイスピ俳優がレセプションに参加していたことも多くの来場者を喜ばせた。

 そのワイスピ俳優とは、ワイルド・スピード×3 TOKYO DRIFTではオレンジと黒のRX-7 Fortune、最新作ジェットブレイクでは同じカラーリングのGRスープラとともに登場した人気キャラクター「ハン」ことサン・カンと、2011年11月30日に自動車事故で亡くなった兄ポール・ウォーカーの代役としてシリーズに出演したコディ・ウォーカーである。

 田村氏とサン・カンはJCCS(日本旧車集会)にも訪れていたので、SEMAへの来場も予想されたが、コディの来場は全く予想していなかったので非常に驚いた。

 筆者は田村氏にコディが来ていることを教えてもらったのだが、その時、通訳担当の息子が不在で私のつたない英語でやっと聞けた。

加藤:「新しいZはいかがですか?」
コディ:「とてもいいクルマですね。スタイルが美しい。私はブルーのほうが好きです」

 教科書の構文のようなやり取りしかできなかったが、コディはにこやかに答えて握手にも応じてくれた。

私の名刺(名前以外日本語)を見ながら微笑む優しいコディ・ウォーカー
私の名刺(名前以外日本語)を見ながら微笑む優しいコディ・ウォーカー

 そして、サン・カンは自身の新しい愛車「Doc Z」を日産ブースに出展しており、Doc Zを製作したエリックさんも来場。サン・カン、エリック氏、田村氏の3ショットはかなり貴重な写真である。みなさま良い笑顔です!

240Zベースの新しいカスタムカー「Doc Z」を前に、サン・カン氏、エリック氏、田村氏
240Zベースの新しいカスタムカー「Doc Z」を前に、サン・カン氏、エリック氏、田村氏
『ワイルド・スピード×3TOKYO DRIF』』ではオレンジと黒のRX-7 Fortune、最新作ジェットブレイクでは同じカラーリングのGRスープラと共に登場した人気キャラクター「ハン」ことサン・カンの愛車、DOG Z
『ワイルド・スピード×3TOKYO DRIF』』ではオレンジと黒のRX-7 Fortune、最新作ジェットブレイクでは同じカラーリングのGRスープラと共に登場した人気キャラクター「ハン」ことサン・カンの愛車、DOG Z

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