現在、日本メーカーにライバルとなるトヨタ車より売れているモデルというのはほとんどない。しかし、1990年代まではトヨタ以外のメーカーのモデルがトヨタ車より売れた、互角以上の勝負をしたことも時折あったのだ。
ここでは、そんな「トヨタを負かしたクルマたち」をピックアップしてみた。
文/永田恵一
写真/ベストカー編集部、トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、スバル
【画像ギャラリー】トヨタ敗れたり!? 人気を博した名車たちを画像でチェック!(20枚)画像ギャラリー■日産Y31、32型セドリック/グロリア
日本車の高級車として双璧をなしていたクラウンとセドリック&グロリアの戦いにおいて、87年登場のY31型と91年登場のY32型以前にいい戦いをしたのは、クジラと呼ばれた4代目クラウンが失敗した世代の230型と日本初のターボエンジンを搭載した430型くらいだった。
この悔しい状況もあり、Y31型は「とにかくクラウンから離れる」というコンセプトで開発された。具体的にはクラウンをベンツと例えるなら、Y31型は「BMWのようなスポーツ性を持つ」というイメージで、特にこのコンセプトを象徴したグランツーリスモは大ヒット車となった。
また、Y31型は3L直6エンジンを搭載するクラウンに対して、当時日本最強だった255psの3LV6ターボを搭載した別のボディを持つ本格3ナンバー車となる初代シーマを投入。初代シーマはあのテールを沈めながらグッと加速する姿や、格上のクルマに見える点などを理由に大ヒットし、Y31型ファミリーはこの時に8代目モデルだったクラウンと互角以上の勝負を繰り広げた。
この流れはそれぞれ91年にフルモデルチェンジされ、どちらも正常進化した9代目クラウンのロイヤル系とY32型セドリック&グロリアの戦いでもそれほど変わらなかった。
■日産S13型シルビア
88年に登場したS13シルビアの前モデルとなるS12型は、スペシャリティカーとしては無骨なスタイルなど妙に力の入りすぎたモデルだったためか、当時のセリカやプレリュードに水を空けられていた。
そんな状況下で登場したS13シルビアは87年あたりから日産が勢いを取り戻していたこともあり、目が覚めるようなスタイルを纏っていた。さらに、この時点で2L以下のスポーツモデルはFFが多くなっていたにもかかわらず、シルビアとしては最後となったS15型までFRだったこともスポーツ志向のユーザーには高く評価された。
主にこの2点を理由に、S13シルビアは翌89年に5代目モデルとなったセリカに加え、プレリュードにも圧勝するという大成功を収めた。
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