■スパイもビックリのギミック満載のBMWも見所
そこで気になるのは愛車のBMW。仕事仕様に、ナンバープレートが回転式になっていて、スイッチひとつですぐに違うナンバーに変更することが可能だし、エンジンをかけるのもコードを入力するタイプ。ほかの人間が運転できないシステムになっている。
また、車自体もマニュアルの6速ギアボックスに改造されたレアもので、生産台数も8500台ほどだといわれている。だからというわけでもないのだろうが、劇中でもフランクが丁寧に掃除し磨き上げるシーンが用意されていて、彼の車愛がちゃんと伝わって来るのだ。
カーアクションの大きな見せ場は冒頭のパトカーとのチェイスシーンだが、そのほかにも海や空を舞台にしたアクションもあってバラエティに富みまくっている。
しかも、ドライビングを含め、アクションのほとんどをステイサム本人がやっているというのも大きなウリのひとつで、彼のブレイクするきっかけになったのもうなづけるのだ。
製作は『フィフス・エレメント』(1997)等で知られるフランスのリュック・ベッソン。監督はフランス人のルイ・レテリエと、香港出身のコリー・ユン。ユンがアクションパートを担当したせいで、アクション部分は香港色が強く、ヒロインも香港女優のスー・チーという異色っぷり。
こういった采配もベッソンのもので、本人曰く「いろんなカルチャーが交差しているのが本作の特徴。そうしようとしたわけではなく面白い才能を集めていたら結果としてそうなった。
イギリス野郎が初めて主演を張り、ヒロインが英語のおぼつかない香港女優で、警官役がフランスのオヤジ役者、ルイという若造が初めてメガホンをとり、アクション大好きな香港人がそのサポートをする。この現場が私をエキサイトさせてくれるんだ」
その言葉通り、映画も英語、フランス語、中国語が飛び交うからインターナショナル度が高い。いまどきの多様性を20年前にすでに実践していた作品ともいえそうだ。
●解説●
どんなものでも確実に届けるトランスポーターことフランク・マーティン。依頼人から預かったその荷物は何と女性。ワケありの彼女を助けてしまったことで家は壊され、謎の連中に追われてしまう。果たして彼女の正体は? そして、依頼人の本当の目的とは?
本作の大ヒットによってシリーズ化され『トランスポーター2』(2005)、『トランスポーター3 アンリミテッド』(2008)が製作され、12年から14年まで、『プリズン・ブレイク』のクリス・エヴァンスがフランク役を務める『トランスポーター ザ・シリーズ』がTVでオンエアされた。
2015年には『トランスポーター イグニッション』がリブートというかたちで製作されている。
フランクを演じたジェイソン・ステイサムは飛び込みの世界選手権のイギリス代表を務め、プールで練習中にカメラマンの目にとまり、イギリスのブランド、フレンチコネクションのモデルとなった変わり種。
そのフレンチコネクションが『~スモーキング・バレルズ』のスポンサーだったことから映画に出演。以来、役者として活躍している。
特徴的なハスキーボイスについてステイサムは
「ハロッズの側でフェイクの宝石や香水を売る露天商をやっているとき、いつも声を張り上げていたので声がつぶれてしまった。そのときの経験は役者になってとても役立っている」といい、「オレにはフランクのようなルールはないが、“昔やったことに無駄はない。過去は活用するもの”という人生訓はある」とも。
このフランクはベッソンがステイサムを念頭において作ったキャラクター。「『スナッチ』(2000)でオレが見せた瞬発力を感じさせるアクションが気に入って、このキャラクターを作ってくれたようだ」と言っている。
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『トランスポーター』
ブルーレイ ¥1,980(税込)/DVD ¥1,320(税込)
発売元:TCエンタテインメント 提供:アスミック・エース
販売元:TCエンタテインメント
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