■いきなり墨落を食らったようにスピン!
おっしゃ~、スタートしてぐいぐい加速し、左コーナーから深めの右コーナーに入った瞬間、隅落を食らったような衝撃を受けた! クルマのリアが滑り、カウンターを当てたつもりだが、スピンは止まらずシートに俺の身体がグッと押し付けられた。柔道なら、鮮やかな1本! というやつだ。そこからオレは少しムキになったのかもしれない!!
「さあ来い、滑るなら滑ろ! きっちりドリフトでいなしてやるぜ」。
しかし、気持ちが焦るばかりで、86は右に左に暴れ、大きくコースを外れ、ヤバいと思ったらまたしてもスピン。「オーマイガー! おいおい、止まってくれ~」。ポイントをさんざん取られた挙句、またしても1本を取られたようでショックに打ちひしがれた。
ただ、2本取られてからのオレは少し冷静になり、ゆっくりとステアリングを切り、アクセルもじわっと踏むようにした。すると、コースオフも収まってきたが、ドリフトを決めるまでには至らず、試乗終了。
■凄腕インストラクターの的確アドバイス
トヨタの凄腕技術養成部に所属する車両評価ドライバーのインストラクターが、先に話した(1)車載映像と(2)車速・アクセル・ブレーキ・ハンドル操作量を示したグラフ、(3)G-Gダイアグラムと呼ばれるクルマの加速、減速、右横G、左横Gの点を図形化したもの、以上3つを使って俺の運転を分析してくれる。
「最初はちょっと緊張されていたようで、操作がスムーズじゃないところもありましたが、後半はゆっくりとした操作になりよかったと思います。アクセルをじわり踏んでいらっしゃるので、加速Gのつながりがいいですね。また、ステアリングの操作もゆったりとして悪くありません。ただ、ひとつアドバイスするなら、ブレーキも少しずつゆっくりと戻すことを心掛けていただけると、より安全にスムーズに走れるようになると思います。あとは足が大きいせいでしょうか、一部アクセルに足がかかったまま、ブレーキ操作をしていらっしゃることがありました。ここは気をつけてください。」
言葉は優しいが、俺の運転を丸裸にされた気分。リベンジを期し、特別にもう一度VSCオフで走らせてもらった。
■安全運転の奥義が少しだけわかった
ゆっくりアクセル、ゆっくりブレーキ、そしてゆっくり戻す、左にゆっくり切ってゆっくり戻す。加速できるところはアクセル踏んで…………。そう唱えながら走ると、さっきまで滑りまくっていたのに、クルマが暴れなくなっていた。走りをインストラクターさんが解析してくれ、G-Gダイアグラムを見せてもらうと、前回よりも全体的に丸くなっていた。
「小川さん、全体的にスピードが上がって、Gのつながりがよくなりました。特に減速Gから左右のGのつながりがすごくよくなっています!」
ドリフトを決めてやる! とやってきたオレは納得いかないが褒められるのは悪い気がしない。
「低ミュー路のような走りにくい道を速くスムーズに走れるようになれば、速度を落とすことで、一般道での安全性が高まります。小川さん、ぜひ何度か通ってください」と凄腕インストラクターからアドバイスされた。
ドリフトしたいなら、日々の精進は欠かせない。オレは毎日ブレーキをジワリと戻すイメージトレーニングを続けている。近い将来、再びちょこっとモビリタの門を叩いてやるぜ!
取材協力/モビリタ https://www.toyota.co.jp/mobilitas/
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