喫煙習慣の変化とともに消えてしまうか? 「灰皿&シガーライター」
終日禁煙の飲食店も増え、公共交通機関もほぼすべて禁煙になったことですっかり肩身が狭くなってしまった喫煙。20歳以上であればタバコを吸うこと自体に問題はなく、ましてや自分のクルマの中ではいつでも自由に吸いたい。そう考えている人も多いだろうが、今やそれも簡単な話ではなくなっている?
日本人の喫煙率が最も高かったのは1955~1973年頃の高度経済成長時代と言われていて、ピークだった昭和41年(1966年)が男性で83.7%と、今考えると信じられないほど喫煙者の数が多かった。ほとんどのクルマに灰皿とタバコに火をつけるライターが装備されていたのも、この喫煙者数を考えると納得だ。
しかし、時代が進むにつれて喫煙習慣のある人は減り、さらに喫煙できるエリアも年々減っている。そうなるとクルマに装備されている灰皿は多くの人にとって不要なものになってしまう。
こうして現在は灰皿を標準装備するクルマはほとんどなくなり、車内でタバコを吸いたい人は、オプション設定の灰皿を装着するか、カップホルダーを利用する“後付け”の灰皿を購入しなくてはならない。
シガーライターの場合は少々事情が異なっている。シガーライターソケットは、もちろんライターの保持と発熱させるための装備だったが、同時に電源の供給口としても利用できる。本来の需要が減少していても、スマホやドライブレコーダーの電源に使われるケースは多い。
だが、どうせ電源として使うなら専用のプラグにしてしまったほうが便利なのも事実。実際に最初からUSB端子やAC100V端子を装備したクルマもどんどん増えていて、シガーライター、そしてシガーライターソケットもいずれはなくなってしまう可能性が高いだろう。
視認性は良くても外圧に負けた? 「フェンダーミラー」
現在、乗用車の車外ミラーはドアの先端に装着されるドアミラーが主流となっているが、以前の我が国ではフェンダー上に取り付けられたフェンダーミラーのみが認可されていた。
フェンダーミラーには、目線の移動が少ないため後方の確認がしやすい、ミラーがボディ幅に収まるので狭い道を走る際に有利になる、ドアミラーよりも空気抵抗が少なくなるなどのメリットがある。
デメリットとしては、ミラーが遠くなってしまい視界内の面積が狭くなる。もし歩行者と接触してしまった場合にダメージが大きくなるなどが挙げられる。そして、デザイン上の制約が増え、ドアミラー車に比べるとクルマ全体が野暮ったく見えてしまうという難点もあった。
そもそもフェンダーミラーが義務付けられていたのは日本のみで、海外では以前よりドアミラーがポピュラーだった。これが輸入車に対する障壁になってしまうことが指摘され、1970年代には輸入車においてドアミラーが解禁となり、国産車も1983年にドアミラー装着がOKとなった。
先に挙げた安全上の理由と、そしてスタイルが良くなることから国産車でもドアミラーが一気に普及し、現在でもフェンダーミラーを標準装備する国産車はトヨタのJPNタクシーのみになっている。これはタクシー運転手が後方確認の際に首まで動かして、お客さんに不要なプレッシャーを与えてしまわないためとも言われている。
メリットも多かったフェンダーミラーだが、現在ではほぼ「いらない子」扱いされている。
コメント
コメントの使い方