ダイレクトな走りと優れた燃費性能を両立したGRヤリスの“Direct Shift-CVT”
2020年9月に登場したGRヤリス。その頂点に君臨するのは、272psという最高出力を誇る1.6リッター直列3気筒インタークーラーターボエンジンと多板クラッチによる前後駆動力可変システムを導入したスポーツ4WDシステムを採用したRZグレードだが、GRの研ぎ澄まされた走りを気軽に楽しめるFFのRSグレードも見どころ満点。
なかでも、RSグレードのトランスミッションとして採用されたDirect Shift-CVT(ギヤ機構付自動無段変速機)は、トランスミッションの基本性能である“伝達効率の向上”、“エンジン高効率領域の活用”、“高応答変速”を強化した注目のパワートレーンだ。
乗用車用CVTとして世界で初めて発進用ギヤを採用して伝達効率の向上と力強い加速を実現するとともに、アクセル操作に対して一瞬遅れるようなもたつき感も改善したDirect Shift-CVT。また、発進用ギヤの採用にあわせて、クラストップレベルの変速比幅も実現。
加えて、小型化したベルトを狭角化するとともに、プーリーを小径化したことで変速速度も向上。マニュアル感覚の操作が楽しめる10速シーケンシャルシフトマチックのパドルシフトとの組み合わせもパワフルかつリズミカルな加速フィールで、意のままに車両をコントロールする気持ち良さを提供する。
WRX S4の“SPT”で人とクルマの究極の一体感を得よ!
1987年2月、“世界初のスーパーオートマチック”と銘打ったECVTを採用したジャスティが登場。電子制御電磁クラッチにエレクトロニクス技術を導入し、これにスチールベルト・プーリーを組み合わせて無段変速機の実用化に成功したスバルの新技術は大きな注目を集めた。
その登場から約22年後、“理想の無段階トランスミッション”と称されたリアトロニックを5代目のレガシィシリーズに採用、現在も主要モデルに搭載されている。そんな系譜を汲むスバルのCVTにあって、2021年11月に発表されたWRX S4では従来モデルからレシオカバレッジを拡大して加速性能を高め、振動と騒音の低減で動的質感も向上させたスバル・パフォーマンス・トランスミッション(SPT)を採用。
エンジンとの協調制御を最適化したスポーツ変速制御の採用で2ペダルのスポーツドライビングを極めた新トランスミッションとして開発されたSPTはアクセルやブレーキのペダル操作からドライバーの意思を読み取り、トルク制御やシフトダウン時のオートブリッピングなどを駆使してシフト操作を行うことで変速速度の向上とキレのある変速感覚を実現。まるでMTを操作しているような感覚を味わうことができる。
タントの“D-CVT”はストレスフリーな発進とスムーズな加速が魅力!
2003年の発売以来、圧倒的な室内空間の広さと使い勝手の良さによってスーパーハイト系という新たな市場を開拓したタント。
2019年7月にダイハツの新世代のクルマづくり“DNGA(Daihatsu New Global Architecture)”による第一弾商品として発売された現行の4代目では、世界初となるスプリットギヤを用いたD-CVTの採用もトピックとなった。
CVTはベルトで動力を連続的に伝達する無段変速機で変速ショックがないスムーズな加減速が特徴となるが、その一方でトップギヤ状態からさらに速度を上げようとすると、変速比に限界があるためにエンジンの回転数をさらに上げていく必要があり、これが動力伝達効率の悪化やエンジンノイズの発生というデメリットを生んでいた。
しかし、D-CVTでは遊星ギヤを組み込んだギヤ駆動を従来のCVTに取り入れたスプリット駆動を採用することで、エンジン回転数の抑制と過度な燃料消費、さらにはエンジンノイズを低減。本方式の採用と油圧制御系統の改良などにより中~高速域の伝達効率を向上しつつも、低速域ではパワフルでスムーズな加速も実現。
室内空間の広さや使い勝手の良さにばかり注目が集まるタントだが、そのトランスミッションもまた注目に値するだけの新技術が導入されているのだ。
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