日本の小説が原作!!「ハリウッド風ニッポン」をアウディと新幹線が走る!! 映画「ブレット・トレイン」

■ハリウッド映画の中の「ニッポン」にリアリティは要らない!?

ハリウッド映画の中に出てくる日本は、日本人が一度も見たことのない、しかし日本人が一度は行ってみたい不思議なニッポンだ
ハリウッド映画の中に出てくる日本は、日本人が一度も見たことのない、しかし日本人が一度は行ってみたい不思議なニッポンだ

 また、原作は当然、日本人が主人公なので日本の描写的にはノーマルなのだろうが、本作はハリウッド製で登場人物も基本、欧米人。なので、次々と奇妙なニッポンが登場して笑わせてくれる。

 各停車駅には仮面をかぶったフル武装のヤクザ軍団が待機し、いかにもニッポン的な被り物のキャラクターが登場し、おねえさんによるワゴンの車内販売があり、今では見なくなった食堂車も登場する。

 そして、トイレに立てこもったブラピはあらゆる機能を満載したスマートトイレに翻弄されまくり! 新幹線を遊び倒していると言っていいかもしれない。

 さらに、バックに流れる曲も日本を意識したものが多く、日本人的には「こう来たか!」の連続。『サタデー・ナイト・フィーバー』(77)で知られるビージーズの『ステイン・アライヴ』も使われているのだが、歌っているのは女王蜂のボーカル、アヴちゃんで、一部日本語で美声を披露。

 その一方では、奥田民生が映画のオリジナルソングを熱唱し、カルメン・マキのアノ曲や、坂本九の懐かしいアノ歌、そして映画『フットルース』(84)の主題歌、ボニー・タイラーの大ヒット曲をカバーした麻倉未稀の『ヒーロー』がドラマチックに使われている。

 早い話がもうごった煮状態! でも、それが弾丸状態で疾走するブレット・トレインにはちゃんとマッチして、ハラハラ感&笑いが止まらない!

■大作映画に出ずっぱりのアウディ

前回ご紹介した『グレイマン』にも登場していたアウディ RS e-tron GT。最近のアウディは映像作品への登場に力を入れているのだろうか? 確かにヒット作への登場は宣伝効果が高い
前回ご紹介した『グレイマン』にも登場していたアウディ RS e-tron GT。最近のアウディは映像作品への登場に力を入れているのだろうか? 確かにヒット作への登場は宣伝効果が高い

 さてそこで、問題となる車はアウディ。それも前回ご紹介した『グレイマン』でも大活躍していたアウディの新しい顔、アウディ RS e-tron GTだ。『グレイマン』ではヨーロッパの古い街並みを疾走していたアウディが、今度は日本にお目見え。アクション映画×アウディのコラボレーションが続いたかたちだ。

 本作ではどのシチュエーションで、どういう風に登場するのかが気になるところだが、それは映画を観てのお楽しみ。ピッカピカの車を目にしたブラピが思わず「Nice Car!」と呟くくらいスタイリッシュかつ颯爽と現れるものの、その扱い方はいかにも本作らしいウィットに富んだものとだけ言っておこう。

 ちなみに、『グレイマン』でこの車に乗っていたのはライアン・ゴズリング。そして本作では……それでもぜひ、劇場で確かめて欲しい。

 また、本作の中盤ではカーアクションがあり、そこで登場するのはベンツ、BMW、そしてアウディというなぜかドイツ車ばかり。アクションが速すぎて車種まで判別できなかったが、ドイツの名車が大乱闘を繰り広げる。

 新幹線を思い切り遊び、アウディの美しさにため息をつき、その意表を突いた扱い方に爆笑する。いろんなお楽しみが詰まった、さすがハリウッド的なサービス満載の映画なのだ。

●解説●

 「列車からブリーフケースを奪ってほしい」。いつものマリアからそんな依頼を受けた殺し屋レディバグは東京発の高速鉄道に乗り込む。

 思いのほか簡単にケースを探し出したレディバグは品川で下車しようとするが、なぜかメキシコの殺し屋が乗車し、自分に襲い掛かって来た。どうも相手を間違えているようなのだが、実はこの列車には世界各国から多くの殺し屋が乗車していたのだ。

 原作では東北新幹線だったが、映画では東京から京都の東海道新幹線にチェンジ。また原作にも登場する殺し屋コンビ、蜜柑と檸檬はタンジェリンとレモン、キーキャラクターの王子は女子に代わり、名前はプリンス。

 また、原作にも登場する木村の父親を真田広之が演じ、見事なソードアクションを見せてくれる。これも日本人的には嬉しいプレゼントだ。

 監督は『デッドプール2』のデヴィッド・リーチ。スタントマン出身のリーチは、『ファイト・クラブ』(99)、『オーシャンズ11』(01)、『トロイ』(04)等で長年にわたりブラッド・ピットのスタントダブルをやってきた人。

 だからなのか『デッドプール2』(18)にピットがカメオ出演し、本作でやっと監督×主演というかたちでのコラボレーションが実現した。

 カメオ出演つながりで言うと、ピットがカメオ出演した『ザ・ロストシティ』のヒロイン、サンドラ・ブロックが本作では彼に指令を送る依頼人マリア役。また同作のもうひとりの主演チャニング・テイタムが絶妙なシチュエーションでカメオ出演して爆笑させてくれるのも嬉しい。そ

 して、もうひとつ大きなサプライズも用意されている。キャスティングでも遊びまくっている映画なのだった。

*   *   *

『ブレット・トレイン』(原題:BULLET TRAIN)
・日本公開:2022年9月1日(木)全国の映画館で公開
・原作:伊坂幸太郎「マリアビートル」(角川文庫刊)
・監督:デヴィッド・リーチ ・脚本:ザック・オルケウィッツ ・音楽:ドミニク・ルイス 撮影監督:ジョナサン・セラ
・製作:ケリー・マコーミック/デヴィッド・リーチ/アントワーン・フークワ
・エグゼクティヴ・プロデューサー:ブレント・オコナー/三枝亮介/寺田悠馬/カット・サミック
・キャスト:ブラッド・ピット、ジョーイ・キング、アーロン・テイラー=ジョンソン、ブライアン・タイリー・ヘンリー、アンドリュー・小路、真田広之、マイケル・シャノン、バッド・バニー(ベニート・A・マルティネス・オカシオ)、サンドラ・ブロック
・2022年/アメリカ映画/上映時間:2時間6分

【画像ギャラリー】密室の弾丸列車で殺し屋たちが繰り広げるアクション!! 映画「ブレット・トレイン」とアウディ RS e-tron GT(11枚)画像ギャラリー

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