もはや走る仏壇!? 名古屋型霊柩車の重厚な作りを見よ

輿の部分は昭和初期に製造。車両を入れ替えながら今に至る

棺室内部にも黒檀がふんだんに使われている。この木材を知っているならば、この無垢材の使用量による重さがどの程度かもわかるだろう
棺室内部にも黒檀がふんだんに使われている。この木材を知っているならば、この無垢材の使用量による重さがどの程度かもわかるだろう

 この名古屋型霊柩車、輿の部分の屋根は銅板葺きで、輿に使用する木材は全て黒檀を使用。その黒檀には美しい彫刻があしらわれている。黒檀という材は非常に重い木材でもあるが、無垢材を使用していることからもわかるように、輿の部分は非常に重厚であり、車両に搭載していてもしっかりした構造とも相まって丈夫そうなことはよくわかる。

 この撮影をさせていただいた車両の輿の部分、実は昭和初期に製造されたもので、稼働の頻度にもよるが、以前は5~6年ごとにベース車の入れ替えが行われていた。つまり、輿部は一つの構造物として出来上がっており、これを台車に乗せ換えていくというイメージである。

 いろいろな規定や摺動部分も多いベースの車両よりも、堅牢な輿の部分だけが特別に長い歴史を持っているのだ。モノがしっかりしているだけに、輿の部分は何度も分解・組み立てのメンテナンスも受けながら長く愛されている霊柩車と言える。

仏壇と同じように独自の発展を遂げた霊柩車

 関東圏の方なら白木の宮型霊柩車を目にしたひともいるだろう。杉やヒノキのような白い木目をそのまま活かして作られた輿を搭載した霊柩車だ。仏壇には白木というバリエーションはないのだが、一般家庭では神棚という白木でできた神聖なモノは存在している。つまり、日本人にある、日本人の供養の形式に合った霊柩車の進化は見られるわけで、そういった意味でも仏壇と同じように、霊柩車の展開も見られる、のだ。

 今回はその材質と仕上がりの点で霊柩車を分類してみたが、ひと言で輿といっても、宮型霊柩車の場合、その輿の部分はさらにその地域での様式も存分に盛り込まれるはず。輿の部分を詳細に見ていくだけでも、伽藍などの寺社彫刻にも通じる彫り物は実にたくさんの意匠があるはずで、地方によっても特色が出ていたはず、だ。

 また、その霊柩車を使う際のお値段についても気になるところであろう。基本的に霊柩車は基本価格(地域差アリ)に走行距離、待機時間などの設定がある上に、我々一般ユーザーが葬儀業者を介さず、直接特殊運送会社に依頼することもあまりないので、単純に価格を出すことはできないが、洋型に比べ宮型は価格が高く設定されていることが多い。そんなこともあり、逆風だらけと言えるが、せめて完全に絶滅する前に、紹介をする機会を設けて行きたいものだ。

【画像ギャラリー】重要文化財並みの佇まい!! 名古屋型霊柩車のディテールをチェック(3枚)画像ギャラリー

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