インディ500、ル・マン、全日本GT選手権など数々のレースで戦ってきた、プロレーサー兼自動車評論家兼僧侶の松田秀士氏が、クルマ選びで悩んでいるという。なんでも、30年振りにクルマを買うんだとか。ゴリゴリのスポーツカーかと思いきや、どうやらそうではないらしい……!?
※本稿は2022年9月のものです
文/松田秀士、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年10月26日号
■「お坊さんの仕事で使いたい」
まったく愛車がなかったわけではないのだが、記憶にある限りほとんどクルマを買っていない。
長くレーシングドライバーをやっていると、チームから与えられるクルマがあったし、長期試乗連載企画やジャーナリストとしての広報車試乗など、とにかく愛車を必要としなかった。
しかし、最近お坊さんの仕事も増えたことにより、自分専用の愛車? を買おうと決めたのであります。
で、今回愛車の条件として何にこだわっているかというと、ミニバンであります。
えー、松田秀士の愛車がミニバン? って思うよね。私もそう思っています(笑)。
実を言うとお坊さんの仕事が増えてきて、ジャーナリストとの分業を効率よくこなすために室内スペースのあるミニバンが必要になってきたわけ。
僧衣って着替えが大変で、室内である程度、立ち上がれる室内高が必要。
僧衣のまま試乗会に出席してもかまわないのだが、それでフェラーリにでも試乗したら故・織田無道氏みたいじゃない?
さらには原稿執筆、ドライブスルーメシ、車中泊、スキーでの着替え、ギター演奏、ひとりカラオケ……と、夢は膨らむのであります。
ああ、クルマってスバラシイ!!
■候補となったのはホンダの3台
最近フリード、N-BOX、ステップワゴン(以上すべてホンダ)と広報車を乗り継いでミニバンも捨てたもんじゃない、ということに気がつき候補車となった。すべてスライドドアとなる。
実は愛犬が故エリザベス女王と同じコーギー。しかし一時は25kgもあった巨漢で抱き上げてクルマに乗せるなど不可能。
足が短いから自分で乗り込んでもらうには低床でスライドドアが最適解だ。
候補車がホンダになった理由は、ホンダセンシングのLKA(レーンキープアシスト)が単独でオンにできるから。
他メーカーはACC(アダプティブクルーズコントロール)とLKAがセットでないと使用できない。
LKAは運転疲労を軽減してくれるのですよ。
まずはN-BOXの「のんた」(ノンターボの意)。
発進加速がよい。室内の高さも広さも合格。ただちょっとメカノイズがうるさい。
カスタムのターボに乗り換えると、メカノイズは気にならず低音の重厚感あるエンジンノイズが心地いい。
しかもスタートダッシュが速く高速でも余裕のパワー。燃費は16km/L前後で、のんたの約2km/L落ち。
次はフリードのガソリン。
N-BOXほどの室内高はないけれども、縦に長いから車中泊にはよさそう。2列目キャプテンシートなら室内を歩いて移動できる。
ただガソリン+CVTは燃費があまりよくなくて14km/Lくらい。これがハイブリッドになると18km/L。しかし発進加速がとろい。コスパも気になる。
そこでモデューロXにも20日ほど乗ってみた。やっぱハンドリングはサイコー。そして高速燃費が21km/Lを記録!
これ絶対エアロによる空力のおかげだね。ただし300万円超えは高いので諦める。
もひとつ言うと、パーキングブレーキが足踏み式なのでダサいのとACCは30km/h以下でオフになる。
価格以外で条件をすべて満たしているのがステップワゴンe:HEV。
フリードもそうだがハイブリッドになるとエアコンのコンプレッサーが電動になるので夜中の大型トラックみたいにエンジンかかりっぱなしにならないのがよい。
ただしステップワゴンは大きくなりすぎ。
それとライバルのノア/ヴォクもそうだけど、サスペンションのしなやかさがなくなった。
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