60歳以上の自動車評論家がオススメする60歳からのクルマ選び&現行モデル

60歳以上の自動車評論家がオススメする60歳からのクルマ選び&現行モデル

 子どもも手が離れ、しがらみもなくなる60歳以上。とはいえ、若い時に比べて体はいろいろ衰えるし……。そんな悩めるアナタに、60代からのクルマの選び方、オススメモデルをご提案します!

※本稿は2022年10月のものです
文/松田秀士、片岡英明、清水草一、斎藤聡、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年11月26日号

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■60歳からのクルマ選びで押さえておきたいポイント

日産 エクストレイルのヘッドアップディスプレイ。老眼はピントを合わせるのに時間がかかるため、メーターから車外に、あるいはその逆に視線を動かす場合が厄介。ヘッドアップディスプレイは前方2メートルあたり(車外)が焦点位置となるため、ほぼピント調節なしで見ることができる
日産 エクストレイルのヘッドアップディスプレイ。老眼はピントを合わせるのに時間がかかるため、メーターから車外に、あるいはその逆に視線を動かす場合が厄介。ヘッドアップディスプレイは前方2メートルあたり(車外)が焦点位置となるため、ほぼピント調節なしで見ることができる

 歳をとると、疲れにくさ、乗り降りのしやすさ、安全性、視界のよさが大切だが、ほかにも押さえたい点がある。

 厄介なのは、老眼だ。老眼がクルマの運転で問題なのは、メーターやナビ画面を見る時、すぐにピントが合わないこと。さらにそれらを視認してから前方に視線を移した時にもやはりピント合わせに時間がかかることだ。

 そこでヘッドアップディスプレイがあれば焦点位置が2m以上になるので速度などの情報がほとんどピント調節なしで見てとれる。

 絶対に使ってはいけないのがディスプレイ式ルームミラー。焦点が近すぎるのと上目遣いはドライアイを誘発する。

 ADAS(先進運転支援システム)のなかでもACCとLKA(車線内中央維持)は60歳以上の必需品と考えてほしい。なかでもLKA。ドライバーは、クルマが車線内の中央を走るように無意識のうちにステアリングを操作しているもの。この作業が意外に疲労を蓄積させる。

 ACCもしかりだが、車間距離が長すぎるとどんどん横入りされるので使わない人が多い。ただACCとLKAがホンダ以外は連動式になっているものが多いので、それでも我慢して使おう。高速道ではACC+LKAで疲労軽減。一般道ではしっかり運転を楽しもう。

●押さえておきたいポイント
・老眼対策のヘッドアップディスプレイ
・ディスプレー式ルームミラーは厳禁
・ACC+LKAで疲労軽減


(TEXT/松田秀士)

■60歳以上の自動車評論家がお薦めする現行モデル3選(片岡英明の選択)

クロストレックは新開発のシートの出来がいい。ロングドライブでも疲れにくい
クロストレックは新開発のシートの出来がいい。ロングドライブでも疲れにくい

 若い時に免許を取り、日ごろ大きいクルマを運転している人はそれほど多くない。毎日のように乗る機会があるなら、持て余さないサイズの最新モデルがお薦めだ。

 プラットフォームは新しいし、先進安全装備も充実している。そしてロングドライブも楽しみたい、と欲張る人にはワールドプレミアを終えたばかりのクロストレック(元XV・スバル)がいい。

 スッキリとした乗り味で、フットワークは軽やかだ。ハンドリングに過敏なところがないし、乗り心地もいいからロングドライブでも疲れないだろう。着座位置が適切で、乗り降りしやすいのもマル。新世代のアイサイトが搭載されている点も大きい。

 もう少し実用燃費がよく、時には孫も乗せて安全にドライブを楽しみたい、というなら3列シートの7人乗りを設定するコンパクトミニバンのシエンタ(トヨタ)がおすすめ。ガソリン車に4WD仕様がないのは残念だが、本命のハイブリッド車は瞬発力が鋭く、静粛性も高いレベルにある。

 ハンドリングも大幅に洗練されたから、多人数乗車、荷物満載でも不安な挙動は見せないだろう。先進安全装備もクラストップの充実ぶりだ。キャビンも外観から想像するより広く快適である。

 短距離だけと割り切れて、家に200Vの普通充電設備を引ける人なら、軽バッテリーEVのサクラ/eKクロスEV(日産/三菱)を狙ってもいいと思う。力強い加速を見せ、静粛性も驚くほど高いなど、すべてが新鮮な感覚だ。国や自治体の補助金を使えば既存の軽自動車と同等の出費で手に入れることができる。

●60歳以上に推すポイント…車両感覚がつかみやすく、意のままに操ることができ、最新の先進安全装備と快適装備を採用し、経済性も高い。

●片岡英明の3選
・スバル クロストレック
・トヨタ シエンタ
・日産 サクラ/三菱 eKクロスEV

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