今や映画界に欠かせなくなったジャンルの一つがコミック原作の映画化だ。アメコミの2大勢力であるマーベルとDCコミックスからは多くのヒーローたちが映像化を果たしている。今回はレクサスとのタイアップが話題の『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』を紹介しよう。
文/渡辺麻紀、写真/MARVEL、ディズニープラス
(C) 2023 MARVEL
■チャドウィック・ボーズマンの不在をどう補う?
今回、ピックアップしてみたのは『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』。
日本では丁度、Disney+ (ディズニープラス)で配信がスタートし、3月13日に結果発表となるアカデミー賞でも、アンジェラ・バセットの助演女優賞を始め5部門にノミネート。全米では昨年、『トップガン:マーヴェリック』に続く4億5000万ドルを弾き出した大ヒット作だ。
本作が大きな話題となった最大の理由はやはり、ワカンダ国の国王ティ・チャラことブラックパンサーを演じたチャドウィック・ボーズマンの不在。
ボーズマンは2018年にシリーズの1作目『ブラックパンサー』で主人公を演じ、一躍ハリウッドの人気スターになったものの2020年8月、大腸がんで亡くなっているからだ。
果たして映画は、どうやって彼の死と折り合いをつけるのか? ボーズマンのあとを継いでブラックパンサーを演じるのは誰なのか? 1作目の監督&共同脚本であるライアン・クーグラはどんな決断を下すのか? 製作時から世界中が大注目していたのだ。
最初に答えから言ってしまうと、ボーズマンが演じたティ・チャラを「欠番にした」になる。それもおそらく永久に。代役を立てることもなく、劇中でも同じようにティ・チャラは闘病の末、病死したという設定にし、彼が治めていた国ワカンダと彼の家族がその悲劇とどう向き合ったのかが描かれている。
上映時間は161分に及び、製作費は2憶5000万ドルにもなるが、それだけの時間と金をかけて、ボーズマンを「追悼」したことになる。シリーズのスタッフ&キャストにとっては、それだけボーズマンが大きな存在だったということなのだろう。
とはいえ、これはあくまで極論。ちろん弔っているばかりではなく、ちゃんとストーリーも動いている。今回、新登場となるのは海中の国、タロカン帝国と、その国を統べる皇帝ネイモア。彼らとの複雑な関わり方を通して、ティ・チャラ亡きあとの新しいワカンダの方向性を表すという展開になっている。
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