韋駄天は、仏法の守護神で“足の速い神”とされ、転じて足が速いスポーツ選手などのことを示すたとえとしても使われている。
さて、タイトルにもある「これは、もう『かっとび』だ」は、往年の自動車ファンにはおなじみトヨタ スターレットターボのキャッチコピー。コンパクトで軽量なボディにパワフルなターボエンジンを搭載した同車は、“かっとびスターレット”の愛称で親しまれ、まさに韋駄天というたとえがピッタリの1台だった。
このように、韋駄天というべき軽くて速い国産コンパクトは、これまで数多く登場し、そして人々の記憶に刻まれてきた。本稿ではなかでもとりわけ刺激的だったモデルたちを紹介。どれも車重1t未満で痛快な走りを披露した韋駄天たちばかりだ。
文:永田恵一
写真:編集部、TOYOTA、NISSAN、SUZUKI、MITSUBISHI、DAIHATSU
ベストカー 2019年3月26日号
元祖「かっとび」!! 80年代に登場した痛快コンパクト
■3代目スターレットターボ(1986年)
NAエンジン搭載車から1年3か月遅れの1986年1月に登場。
一般向けグレードのほか、装備品を簡素化したモータースポーツベースの「ターボR」も設定されており、ジムカーナやダートラといったモータースポーツ業界でも幅広く大活躍した。
・全長×全幅×全高:3770×1600×1380mm
・エンジン:1295cc直列4気筒ターボ
・最高出力:105ps/5600rpm、最大トルク:15.2kgm/3600rpm
・車重:800kg
■初代マーチスーパーターボ(1989年)
初代マーチ自体の登場からかなりの時間が経った1989年に、ターボとスーパーチャージャーを持つ過激なスポーツモデルとして登場。
スーパーターボは前年に加わったモータースポーツベースの「R」の標準仕様で、パワステも付かないなど非常にスパルタンだった。
・全長×全幅×全高:3735×1590×1395mm
・エンジン:930cc直列4気筒ターボ+スーパーチャージャー
・最高出力:110ps/6400rpm、最大トルク:13.3kgm/4800rpm
・車重:770kg
■初代カルタスGT-i(1986年)
初代カルタスは主に北米でGMが販売するクルマとして開発され、GT-iは1986年に追加された1.3LのDOHCエンジンを積んだスポーツモデル。
パワフルなエンジンであったが、如何せん車体が軽自動車と関連のある簡素なものだったのもあり、その韋駄天度は相当なものだった。
・全長×全幅×全高:3670×1545×1350mm
・エンジン:1298cc直列4気筒
・最高出力:97ps/6500rpm、最大トルク:11.2kgm/5500rpm
・車重:730kg
常識を覆した!? 超過激な軽スポーツ
■初代アルトワークス(1987年)
2代目アルトにはターボをトルクの余裕に使ったモデルやDOHCエンジン搭載車もあったが、1987年に本格的なスポーツモデルとして加わったのが「ワークス」だ。
グレードは廉価版でFFに加え4WDもある「RS-R」、標準の「RS-X」の3つが設定。
・全長×全幅×全高:3195×1395×1405mm
・エンジン:543cc直列3気筒ターボ
・最高出力:64ps/7500rpm、最大トルク:7.3kgm/4000rpm
・車重:650kg
■ミニカ ダンガン(1989年)
1989年登場の6代目ミニカにはスポーツモデルの「DANGAN」が設定された。
DANGANはなんと市販車世界初の5バルブ3気筒ターボエンジンを搭載し、その過激さは日本車史上に残る。軽の規格改正で排気量は途中で550㏄から660㏄に拡大された。
・全長×全幅×全高:3195×1395×1515mm
・エンジン:548cc直列3気筒ターボ
・最高出力:64ps/7500rpm、最大トルク:7.6kgm/4500rpm
・車重:700kg
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