■将来にどうつなげていくか?
現在、この電動推進機を使った今回の松江城のお堀を周遊する、実証実験。最後に電動推進機の開発責任者である、二輪・パワープロダクツ事業本部パワープロダクツ事業統括部マリン事業部フィールドエンジニアリングチーフエンジニア 高橋能大氏に直撃してみた。
―電動推進機の価格ですが、いくらくらいになるのでしょうか?
高橋氏:9.9馬力のガソリンエンジンの船外機BF9.9は27万5000円から販売していますが、この電動推進機についてはプロトタイプでまだ実証実験中ですので価格はお答えできません。
―今後は例えば近くの宍道湖など、湖や海などでの実証実験を行う予定はあるのでしょうか?
高橋氏:まず堀川遊覧船での実証実験を夏の暑さ、冬の寒さ、つまり四季を通して実証実験を重ねる予定です。いつ実証実験を終わらせるのかはまだ決めておりません。現在、電動推進機は3機しかありません。1機は開発部に置いてあります。2機を堀川遊覧船に搭載して1機は実用運行、もう1機は予備として待機させます。ほかの地域での実証実験はいまのところないですね。
―一般の人は乗ることが可能でしょうか?
高橋氏:まずお客様は乗せずに実証実験を重ね、今年の秋頃から実際にお客さんを乗せて実証実験を行うことも検討しています。
―電動推進機の課題はありますか?
高橋氏:いまのところ大きな課題は見えていませんが、実証実験を通してこれから検証していきます。もちろん想定していない問題点が出てくるかもしれないですね。松江城のお堀は宍道湖につながっていますので、しじみが生息する塩分を含んだ汽水域です。この汽水が電動推進機にどう影響するのかも見ていきたいと思っています。
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今回初めて電装推進機付きの船を乗船したが、音の静かさ、振動の少なさ、無臭という、電動化ならではの魅力を堪能することができた。そしてクルマ以上に親和性があり、環境にやさしいことを実感した。
今後、船の電動化はどこまでできるのか、EV(クルマ)に比べると、相当遅れているので、コスト面や海上で電欠したらどうするのかなどの問題も含め課題が多いと思うが、電動推進機には一度味わったら手放せない魅力があると感じたので、船の世界も電動化が加速していってほしいものだ。
櫓を使った手漕ぎ船、伝馬船のように水を切る音が聞こえ、景色をゆっくり楽しめる、電動推進機を搭載した船が全国各地に広がっていくといいですね。
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